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愛おしいキミに極甘な林檎を
第22章 幸運と四人目の男

今となっては一番幸せにしてあげたい人なのにどうしてこんなにも上手くいかないんだろう。
「俺たちの未来は幸運がやって来ることに頼るしかないようだね」
「はい……。だから……私は信じています」
残された選択肢は決まっていた。ソラ先輩が隣にいない未来を想像すると怖くなってきて瞳が潤んでくる。
きっと音信不通でいなくなった時と同じ毎日を過ごすことになるだろう。
手の平に乗せていたふたつの桜貝を握りしめた私はソラ先輩の胸に飛び込む。
いつ触れても温かくて優しい。
背中に腕を回されてぎゅっと包まれると堪えていた涙がボロボロと零れて落ちてきた。
波の音と大きな手が慰めてくれる中、しばらく泣いていた。

