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愛おしいキミに極甘な林檎を
第4章 自由と秘め事

「そうだ。だから佐伯は乙羽に手を出すな。……いくぞ乙羽」
「あっ…、はい……」
何か言い返すのかと思いきや、あっさりと返して私の腕をグイッと引いて歩き出す。
助けてもらった嬉しさもあって心が温かくなる。
でも前よりもドキドキするのは男として気になってきたからなんだと思う。
動かなかった心が少しずつ揺らいでいる気がした……————
十二月のある日。強い寒波が到来して朝からたくさん雪が降っていた。
「乙羽さん、電車止まってるらしいよ?」
定時になる頃、外で雪掻きをしてきた陸田さんが戻ってきて教えてくれる。
「どうしよう……。バスを待つしかないんですかね」
「少し遅くなりそうだがオレが車で送るから待っていてくれ。寒いところで待つよりはいいだろ」
「すみません、ありがとうございます。待ちます」

