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愛おしいキミに極甘な林檎を
第27章 婚姻届の行方

「風子おねえちゃん……。眠れないよぉ……」
振り向いてみると理人さんの妹がいた。
見つかってしまったのはまずかったけど、一番上の兄の方じゃなくて良かったと思ってホッとする。
しゃがんで向き合うと理人さんの妹は小さな手で潤んだ目を擦っていた。
「どうしたの?大丈夫?」
「うううっ、ママとパパに会いたいよぉ……。うわぁーん」
確か理人さんの両親は亡くなっていたんだっけ……。
理人さんの妹はもう二度と親に触れたくても触れられないんだ……。
捨てられた私も似たようなものだけど。
そもそも捨てられたのかな……。
ずっとそう思って生きてきたけど、大人になって色んなことを知って今では何か理由があったんじゃないかと思ってしまう。
複雑な思いで理人さんの妹を包むように抱き締めて背中を優しく摩って慰めた。

