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愛おしいキミに極甘な林檎を
第28章 結婚と彼女

私の体をそっと放した郁哉さんの顔を見上げると困ったように笑っていた。
結婚するつもりで来たんだろうから心の中はきっと苦しい想いをしていると思う。
本当に私は上司を困らせてばかりの部下だ。
「悪いが乙羽のスマホと財布が入ったバッグを持ってきてくれないか?」
「えっ……?」
なぜそう言ってくるのか疑問に思いながらも郁哉さんの指示に従う。
急いで自分の部屋に行き、言われた物をバッグに詰め込んで戻ってきた。
「持ってきました。なにか必要でしたか?」
すると後部座席のドアを開けた郁哉さんに背中を押されて車に乗せられた。
「…………」
「ひゃあっ!……えっ、ちょっ……!?郁哉さん!?」
すぐにドアを閉められてから降りる間もないまま、発進させられて唖然としてしまう。

