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愛おしいキミに極甘な林檎を
第30章 低俗な野望と片思い

残業をした帰りに雨が降っていた日。
朝の天気予報では一日中晴れだと言っていたから傘を持って来なかった。
会社の玄関から外を見て出ようとした時、佐伯さんが後ろからやって来て声を掛けてくる。
「風子ちゃん、お疲れ様。傘に入れてあげる?」
「必要ないです」
しかも外に出て歩くと私についてきた。
「ねー、風子ちゃんは花城さんとラブラブなの?」
「いい加減にしてください。付き合っていませんし、私には彼氏がいますから」
「いつの間にか彼氏ができていたんだ。花城さんとの噂が立ったら浮気してるって思われそうで大変だね」
「何もないんですから立てないでください」
頬を膨らませて佐伯さんに言われる不愉快な質問を淡々と返していく。
さっさと分かれ道になっていなくなって欲しい。
「えー?出張の時に花城さんと二人っきりだったんだからイチャイチャしていたんじゃないの?」
「からかうのも大概に――――」
「……風子」

