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愛おしいキミに極甘な林檎を
第4章 自由と秘め事

「すっ、――――す……ごく…気持ち良かったです……」
「そうか。オレも気持ち良かった」
乱れた髪を直してくれるように頭を撫でられた後、課長はドアを開けて待っていてくれた。
「…………」
だから私もスーツをしっかりと着直してから部屋を出る。
また言えなかった……。
どうしてなのかたった二文字の言葉が喉で詰まって出てくれない。
まるで心の奥底で何かが邪魔をしているような気がした。
結局仕事に戻ってからは二人っきりになれる機会がなくて、伝えることができないまま定時がやってきてしまった。
夜ご飯か飲みにでも誘って落ち着いた場所で伝えよう……。
幸い職場で毎日会えるからチャンスはいくらでもある。
肩を落としながら会社を出ると誰かに肩をトントンッと叩かれた。
「――――乙羽 風子さんですよね」

