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陰は陽よりも熱く
第4章 金色の陽は
悔しさで顔が歪む


邪魅への怒り
身勝手な男子や教頭への怒り

なにより無力な自分への…


震える唇を噛みしめると、頭上からぐしゃりと髪の毛を撫でられた


「考えるな…」


創護はそれだけ言ってあたしの手を取ると長い指で手の甲に何か文字を書いて息を吹きかけた




「お前の手…少し借りるぞ」



創護に息を吹きかけられた手の甲に光る文字が浮かぶ。


意志とは関係なく手が持ち上がり先行するように梓先輩の側に導いた。


身構えた先輩の頭に操られる手をかざすと、ヒュッと乾いた音を立てて何かを手から吸収している感覚が腕に登ってくる。



「っ…そうごっコレッ何っ…?!なんか 怖っ」




「運動部の猛者2人一撃で倒した奴のセリフか」



慌てる七葉に冷静に創護が突っ込む。



「えっ……やっ…熱っ!」




「記憶の断片を切り取ってる―――
そのまま……っ…動くな阿呆!」




そう易々とはできないものらしく、身じろぐ七葉に焦った様子で声を荒げる



とっさに強く掴まれた手首に、ひっと身体をこわばらせる。


文字の浮かんだ手の甲に意識を集中させる創護の額には薄く汗が滲み出していた。




口の中で小さくなにか唱えるその額の汗は玉になり、こめかみから眼鏡の縁を伝ってレンズの内側に溜まる。



その様子を少し遠巻きに見る蓮実は、側にやはり不思議そうに立ち竦む担任と時折顔を見合わせながら固唾を飲んで見守っていた。
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