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陰は陽よりも熱く
第4章 金色の陽は
ぞわりと背中が泡立つ


あの毛むくじゃらの鬼が嗤うのを見たときより恐ろしく感じた


門倉の眼は俺の仕出かしたことのすべてを見ているようだった

そこに嘲りや侮蔑、邪さなどはなくただひたすら真っ直ぐに――――
思わず目を閉じて俯いていた




「…恥じるなよ……」



言われて弾かれたように顔をあげた
さっきまでの陰陽師の顔ではなく、年齢相応に訴えかけてくる高校生男子の顔がそこにはあった。




「欲望に勝てるくらいの想いの強さでなきゃ、あんたも教頭や転がってる奴らと同じだったはずだ………
邪魅の眼を見ただろう…?
それでも奴らを体張って止めるだけの自我が保てたんだ―――――自分の気持ちにくらい自信持てよ」




…―――はは…
しっかりと励まされ、蓮実への気持ちまで見透かされてる…。





「門倉……俺はもう教師だって威張れる立場じゃない…お前に任せるよ」



関の言葉を聞き薄く微笑むとポケットから白い紙人形のようなものを取りだし
息を吹き掛けた。


ふわりと目の高さまで浮いた紙人形に創護が呼び掛ける。

「俺だ―――…邪魅の後処理てまどってる…応援頼む」


呼び掛けに人形は震えて暴れながら返事をした

『なんじゃ!?創護っ!遅いと思ったら邪魅に遊ばれとったのか……今いくわい、この味噌汁飲んだらの…っ』


ズズ~…ッ
飲み干す仕草まで紙人形を通して見えるようだ



七葉の耳には懐かしい声


「源じっちゃん…っ来てくれるの?!」

カランッと碗の転げた音と共に紙人形がこちらを向いた。

『七葉ちゃん…っ?!まさか邪魅の奴の餌食にっ……っこうしちゃおれん!今すぐいくぞぃ!!』



「……―――場所は高校の校庭だ……」
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