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アルルの夜に始まる恋
第2章 アルルの夜
ロイはフロントに電話し、グラスと皿、ナイフとフォークを持ってくるよう頼んだ。夜中なのに、快く引き受けてくれた。チップを多めに置いていこう。

小夜が壁際の椅子に座ろうとするのを見て、ロイは言った。

「その椅子は硬いだろう?ベッドに座っていいよ」
「でも、汚したら大変だわ」
「汚れたら君のベッドで一緒に寝るよ」

ロイは冗談めかして言った。

「あら、それはわざと汚せって言ってるのか、絶対汚すなって言ってるのかどちらかしら」

小夜も笑いながら答える。

フルボディの赤ワインとチーズとサラミ。二人の小さな宴会が始まった。

「安いワインなの・・・あなたの口に合うかしら」

小夜は少し心配そうに言った。
ロイはワインを一口飲み、とんでもないといった風に言った。

「君みたいな女性と飲めば、どんなワインだってヴィンテージ物になる」

小夜はふふふと笑って言った。

「あなたの知ってる日本語をあててあげるわ。『美しい』『素晴らしい』『食事でもいかが?』でしょ」
「『送りましょう』も言えるよ」

ロイがいたずらっぽく言う。
小夜がまた笑う。

少しの間、黙ってワインを堪能する。

「あの・・・あなたに散々お世話になってこんなお願いするのも図々しいと思うんだけど・・・」

小夜が少し迷いながら言った。

「何?」
「私の・・・話を聞いてもらえるかしら?」
「もちろん。なんでも聞くよ」

小夜はワインを一口飲んでグラスを見つめた。

「あのね、私、5年つきあってた恋人がいたの。同じ会社の人で、彼の方から告白してきた。
私、特別その人が好きだったわけじゃないけど、OKした。出会いなんかなかったし、好きと言われて舞い上がってたのね」

ロイはじっと小夜を見つめた。
小夜の左目の下にはホクロがある。それに気がつくと幼い彼女が少し大人びて見えた。

「結局最後まで、その人が大好きだったかどうか・・・わからなかった。でもね、それは彼も同じだったのね。別れ際に、『こんなつまらない女だと思わなかった』って・・・言われたの」

ロイは彼女の自信のなさはそこに由来するのかと思った。
小夜は悲しそうに笑った。

「5年一緒にいて、この人、ずっとつまらなかったんだわと思うと・・・すごくむなしくて・・・」
「それで・・・フランスに傷心旅行に?」

小夜は首を横に振った。

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