この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
アルルの夜に始まる恋
第2章 アルルの夜
「私、むなしいなと思ったけど、悲しくて泣いたりしなかった。もちろんもう一度やり直したいとも思わなかった。フランスに来たのは・・・」
「来たのは?」

小夜はロイの目をじっと見つめた。

「あなたのような人にこんな話するのは、とても恥ずかしいんだけど・・・」

そう言って、小夜はフランスに行こうと思った経緯を話してくれた。



小夜は父親と二人で暮らしていた。母親は小夜が小さい時に家を出ていき、消息不明だった。

小夜が大学に入ってすぐ、小夜の父が勤めていた会社が大規模なリストラを行い、小夜の父は急遽職を失った。

社宅も追い出され、ドラマに出てきそうな古いアパートで暮らし始めた。
大学も一年通うことなく退学した。

父の歳で再就職は難しかった。
せっかく見つけた掃除やスーパーの仕事も、大手企業に勤めていた父のちっぽけなプライドが邪魔し、長く続かなかった。

財産を株や先物取引に費やし、借金だけが増えていった。
当然、そのしわ寄せが小夜にやってくる。

小夜は小さな運送会社の事務員として働き始め、少ない給料をもらいながら借金返済に追われる生活だった。
それでもまた父親は借金をしてくる。
その繰り返しだった。

そんな父を見かねて、昔からの友人の女性が仕事を斡旋し、事務仕事に就かせてくれた。
それから父はギャンブルを止め、借金もしなくなった。
アパートを出て、普通のマンションに引っ越すこともできた。

二人で力を合わせて借金も全て返したのだという。

「借金もなくなって、父もその女性と再婚したの。・・・私、やっと解放されて、なんだか気が抜けちゃって・・・。それまで、ずっと何かに縛られているように生きてきたから・・・」
「それで、今度は自分のために生きようと思ったんだね?」

うんと小夜は頷いた。
/45ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ