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アルルの夜に始まる恋
第3章 パリの小さな夜
「ううん・・・。あの人の言うことは大体あたってるわ。私は無宗教だし、愛国心もないし、礼儀もなってない。さすがにアメリカの首都はわかるけど・・・」
そう言ってうつむき、自分のスニーカーを見つめた。
ロイはリサのことを激しく憎んだ。
「ああ、そんな風に言わないで。僕は決してそんな風には思ってない」
「・・・ありがとう」
そう言うと黙り込んでしまった。
ロイはため息をつき、小夜を見つめた。
今、リサの性格について細かく説明したところで何の効果もないだろう。
ロイはひとまず部屋の確保をしようと、小夜の手を引いてカウンターに向かった。
「これはこれはウォルター様。ようこそパリへ」
顔なじみの支配人が対応してくれた。少し顔を強張らせているのは、部屋の確保が難しいからに違いなかった。
「急で悪いんだが、部屋を二つ用意してもらえないか」
ロイが流暢なフランス語で言った。
「二部屋・・・・ですか」
支配人が言葉に詰まったのを見て、小夜が言った。
「一つでいいわ」
振り向くと、小夜が真剣な眼差しでロイを見つめていた。
フランス語だったが、やりとりの内容は理解できたらしい。
「二つも取る必要ないわ。一つでいい」
「小夜・・・」
ロイは驚いた。小夜の表情はいつになく硬かった。
支配人が訝しんでいるので、ロイは言い争いをするべきではないと思い、結局部屋を一つお願いすることにした。
支配人はなんでもないといった風に装っていたが、内心かなり焦っているようだった。
スイートは取れないかもしれない。
小夜は何か考え込んでいるようで、口をぎゅっと結んで黙っていた。
部屋を一つでいいとはっきりと言った彼女の意図は、金銭的な理由だけではないと感じたのだが・・・。
「ウォルター様、お待たせいたしました」
支配人がにこやかに声をかける。どうやらスイートルームが確保できたみたいだ。
そう言ってうつむき、自分のスニーカーを見つめた。
ロイはリサのことを激しく憎んだ。
「ああ、そんな風に言わないで。僕は決してそんな風には思ってない」
「・・・ありがとう」
そう言うと黙り込んでしまった。
ロイはため息をつき、小夜を見つめた。
今、リサの性格について細かく説明したところで何の効果もないだろう。
ロイはひとまず部屋の確保をしようと、小夜の手を引いてカウンターに向かった。
「これはこれはウォルター様。ようこそパリへ」
顔なじみの支配人が対応してくれた。少し顔を強張らせているのは、部屋の確保が難しいからに違いなかった。
「急で悪いんだが、部屋を二つ用意してもらえないか」
ロイが流暢なフランス語で言った。
「二部屋・・・・ですか」
支配人が言葉に詰まったのを見て、小夜が言った。
「一つでいいわ」
振り向くと、小夜が真剣な眼差しでロイを見つめていた。
フランス語だったが、やりとりの内容は理解できたらしい。
「二つも取る必要ないわ。一つでいい」
「小夜・・・」
ロイは驚いた。小夜の表情はいつになく硬かった。
支配人が訝しんでいるので、ロイは言い争いをするべきではないと思い、結局部屋を一つお願いすることにした。
支配人はなんでもないといった風に装っていたが、内心かなり焦っているようだった。
スイートは取れないかもしれない。
小夜は何か考え込んでいるようで、口をぎゅっと結んで黙っていた。
部屋を一つでいいとはっきりと言った彼女の意図は、金銭的な理由だけではないと感じたのだが・・・。
「ウォルター様、お待たせいたしました」
支配人がにこやかに声をかける。どうやらスイートルームが確保できたみたいだ。