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アルルの夜に始まる恋
第3章 パリの小さな夜
レストランを出ると、外は一層冷えていた。
どちらからともなく手を繋いで歩く。
エッフェル塔が見える。ブルー一色のそれは寒空に眩く輝いている。
「綺麗・・・」
小夜はため息と共に呟いた。
繋いだ手が少し震えている。
今隣にいる小夜が明日にはいないのかと思うと、ロイは胸が締め付けられ、思わず手を強く握り締める。
それに反応して小夜がロイを見上げた。
「本当に’マイ・フェア・レディ’のようね」
「ヘップバーン以上に美しいよ」
小夜は、まあ、またそんなこと言ってと笑った。
「あの映画は・・・最後、どうなるんだったかしら」
「ヒギンズがイライザの訛りのひどかった頃の声を録音機で聴きいているんだ。それをこっそり帰ってきたイライザが見て涙する。イライザが帰ってきたのに気がついたヒギンズは、そっけなくこう言うんだ。
『イライザ。ぼくのスリッパはどこ?』」
「スリッパ?」
「大喧嘩した時にイライザがヒギンズにスリッパを投げたんだよ」
小夜はなるほどと笑った。
「私も・・・あなたのおかげで少しは英語ができるようになったかしら」
「君の気持ちは言葉にしなくても伝わるよ」
ロイがそう言うと、小夜は足を止めてロイを見上げた。
どちらからともなく手を繋いで歩く。
エッフェル塔が見える。ブルー一色のそれは寒空に眩く輝いている。
「綺麗・・・」
小夜はため息と共に呟いた。
繋いだ手が少し震えている。
今隣にいる小夜が明日にはいないのかと思うと、ロイは胸が締め付けられ、思わず手を強く握り締める。
それに反応して小夜がロイを見上げた。
「本当に’マイ・フェア・レディ’のようね」
「ヘップバーン以上に美しいよ」
小夜は、まあ、またそんなこと言ってと笑った。
「あの映画は・・・最後、どうなるんだったかしら」
「ヒギンズがイライザの訛りのひどかった頃の声を録音機で聴きいているんだ。それをこっそり帰ってきたイライザが見て涙する。イライザが帰ってきたのに気がついたヒギンズは、そっけなくこう言うんだ。
『イライザ。ぼくのスリッパはどこ?』」
「スリッパ?」
「大喧嘩した時にイライザがヒギンズにスリッパを投げたんだよ」
小夜はなるほどと笑った。
「私も・・・あなたのおかげで少しは英語ができるようになったかしら」
「君の気持ちは言葉にしなくても伝わるよ」
ロイがそう言うと、小夜は足を止めてロイを見上げた。