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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第3章 揺れる枝葉

「冬ちゃん!」
門を抜けると、忠が冬子に向かって手を振っていた。
「あ・・・・」
冬子は手に持っていた封筒を見た。強く握り締めたせいで、しわが寄っていた。
慌ててしわを伸ばす。
「おじさん、ごめんなさい。悠・・・・いなかったの」
「おや、それはこちらこそ悪いことしちゃったね。なんだ、あいつ。急に仕事でも入ったかな」
冬子は封筒を忠に渡した。冬子の冷たそうな手を見て忠はポケットからカイロを取り出して冬子に握らせた。
じんわりと熱が冬子の冷えた手に浸透していく。
「本当にごめんね。寒い中行ってくれたのに。あいつに取りに来させたら良かったんだな」
忠は何度もごめんと謝った。
ううん、と冬子は首を振った。
「・・・・あ!今川焼き忘れた!私、買ってくるね」
冬子はすっかり忘れていた約束を思い出して声を上げた。
「あーいいの、いいの!そんなの気にしないで」
「でも・・・・おじさん、楽しみにしてたでしょう?」
「いいんだよ。冬ちゃんのその気持ちだけで、嬉しいんだから」
冬子は忠の優しい笑顔を見て、胸が苦しくなった。
(悠は馬鹿だ。こんな素敵なお父さんがいるのに、あんな風に女の子を連れこんで・・・・)
いや、違う、と冬子は思った。
違う、そうじゃない。馬鹿なのは自分だ。
悠が自分のことを好きでないことを、あの人たちは証明してくれた。現実を見ることができてかえって良かった。
期待してしまった。悠と一緒に愛のある家庭が築けるのではないかと。
悠が自分だけを愛してくれるのではないかと・・・・。
忠の優しさが冬子の我慢の糸を切った。
冬子はハラハラと涙をこぼした。
門を抜けると、忠が冬子に向かって手を振っていた。
「あ・・・・」
冬子は手に持っていた封筒を見た。強く握り締めたせいで、しわが寄っていた。
慌ててしわを伸ばす。
「おじさん、ごめんなさい。悠・・・・いなかったの」
「おや、それはこちらこそ悪いことしちゃったね。なんだ、あいつ。急に仕事でも入ったかな」
冬子は封筒を忠に渡した。冬子の冷たそうな手を見て忠はポケットからカイロを取り出して冬子に握らせた。
じんわりと熱が冬子の冷えた手に浸透していく。
「本当にごめんね。寒い中行ってくれたのに。あいつに取りに来させたら良かったんだな」
忠は何度もごめんと謝った。
ううん、と冬子は首を振った。
「・・・・あ!今川焼き忘れた!私、買ってくるね」
冬子はすっかり忘れていた約束を思い出して声を上げた。
「あーいいの、いいの!そんなの気にしないで」
「でも・・・・おじさん、楽しみにしてたでしょう?」
「いいんだよ。冬ちゃんのその気持ちだけで、嬉しいんだから」
冬子は忠の優しい笑顔を見て、胸が苦しくなった。
(悠は馬鹿だ。こんな素敵なお父さんがいるのに、あんな風に女の子を連れこんで・・・・)
いや、違う、と冬子は思った。
違う、そうじゃない。馬鹿なのは自分だ。
悠が自分のことを好きでないことを、あの人たちは証明してくれた。現実を見ることができてかえって良かった。
期待してしまった。悠と一緒に愛のある家庭が築けるのではないかと。
悠が自分だけを愛してくれるのではないかと・・・・。
忠の優しさが冬子の我慢の糸を切った。
冬子はハラハラと涙をこぼした。

