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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第3章 揺れる枝葉
「でも、良いなって思えば思うほど、むなしさも増していって・・・・。私は’調度良い結婚相手’だから選ばれたんだって思うとやっぱり辛かった。こんな気持ち持ったまま結婚なんて出来な・・・・」
「ちょっと待てよ。お前、何言ってんの?」

悠が冬子の二の腕を掴んだ。

「俺がいつお前のことを’調度良い結婚相手’だなんて言った?」
「いつって・・・・いつも言うじゃん。お互いのこと良くわかってるからとか、親同士だって仲良いからとか」
「それはお前を説得するためにメリットを挙げただけだろ」
「私はメリットなんて聞きたいわけじゃない。悠の気持ちが聞きたかった。でも悠が気持ちを言わないのは・・・・つまりはそういう気持ちがないからだってわかってる」

悠は冬子が何を言ってるのかわからないといった様子で眉を寄せた。

「俺の気持ちって・・・・いつも言ってるじゃねーか。何言ってんだよ」

今度は冬子が眉を寄せる番だった。

「いつも言ってる??」
「お前と結婚したいって、言ってるだろ」
「言ってるけど・・・・。それは気持ちっていうか・・・・・好き、とは言われてない」

悠は何か大きな発見でもしたかのように目を見開いた。

「おま・・・・そういうことか・・・・・・」
「?」

悠はまわりをぐるりと見渡し、電話が置いてある棚の上のメモ帳とペンを座ったまま手を伸ばして取った。

丸を一つ描いて丸の中の端の方に『結婚』と書いた。
その丸の中に小さい丸を書いて、今度は『好き』と書く。

「’結婚しよう’っていったら、その中に’好き’が含まれてるに決まってるだろ」

悠はペンでとんとんと図を叩いた。

冬子はそれは違うと悠からペンを取り上げた。

同じように二つ丸を描いて、外側の丸に『好き』、内側の丸に『結婚』と書いた。

「’好き’って気持ちの中に’結婚しよう’があるんだよ」
「他の人間はどうかしらねー。この俺が、結婚しようって言うってことは、好きだと言うことより何倍も重たいことなんだって、お前なら知ってるだろ」

言われて冬子は黙った。
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