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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第3章 揺れる枝葉
「私ができることは・・・・悠が楽しい人生を送るのを大人しく見守るだけなの。もし、幼馴染でもなく、大人になって悠と出会って、結婚しようって言われたら迷わず結婚したよ。結婚したいってことは、自分のことが好きなんだなって素直に思えたよ。けど、違うもん。私たちはそういう’普通’の関係じゃなかったじゃない」

冬子はある時期までは、嫌がらせを受けながらも悠の幼馴染という特別なポジションにいる自分を誇らしく思っていた。彼女たちには得られないものを持っていると思っていた。
しかし、悠に初めて彼女ができた中学生の時、デートした話を聞いて、それが間違っていたことを知った。
悠はこつこつ貯めていたお金を使って、デート代全て自分で負担したのだと自慢気に話した。安物だがプレゼントも渡したのだと。

冬子といる時は、きっちりお金を請求し、細かいことも節約する悠がデート代を出したということは冬子にとって衝撃的だった。

自分は特別ではなかった。特別になれるのは『彼女』だけ・・・・・。

それ以来、冬子は女の子たちに幼馴染であることをうらやましがられても、何も感じなくなった。何も特別ではないからだ。

すると不思議なことに、嫌がらせがなくなったのだった。
プレゼントや写真を頼まれることは相変わらずだったが、冬子に対して攻撃する女の子がいなくなった。

冬子の誇らしげな態度は本人は意識していなくても、女の子たちは感じ取っていたのだった。その態度が彼女たちを苛立たせ、いやがらせをさせていたのだと冬子は大人になった今なら理解できた。

冬子が悠に対して何も思わなくないことこそが、防御策だったのだ。

「この前、悠のマンションで女の人たちに会って・・・・・。あの頃と同じだった。彼女たちの攻撃的な目が怖くて・・・・・。

私、やっぱり悠を好きになったらいけないんだって・・・・・でも、もう遅かった。悠のこと好きになってたから・・・・。元に戻りたい。ただの幼馴染だった時に戻りたい・・・・・」

冬子の目から涙がとめどなく溢れ、コタツ布団の上にはたはたと落ちた。
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