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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
「では、これで完成ということで」

祐哉がロスに行った翌日、アトリエまで俊に来てもらって絵を確認してもらった。
俊は素晴らしいと何度も褒めてくれた。
いつも厳しい顔をして接する俊に言われると、本当にそう思ってくれている気がして嬉しかった。

「長い間お疲れ様でした」

俊が紗奈に向かって頭を下げた。
紗奈も頭を下げて、お世話になりましたと言った。

「この後は・・・・・どうされますか?」

言われて紗奈はドキリとした。
早く出ていけと言われている気がしたからだ。

「あ・・・あの・・・・。祐哉さんが帰ってくるまでさせてもらえないでしょうか?」
「それはもちろん構いません。そうではなくて・・・・」

俊は言葉をあれこれ選んでいるようだった。
紗奈に向かってそんな風に迷う姿を見せたのは初めてだ。

「・・・・・・以前、あなたに言ったことを撤回させてください」

突然切り出されて、紗奈は何のことがすぐに理解できなかった。

「え・・・・・・?」
「あなたに、遠まわしに『祐哉と一緒になると思わない方が身の為だ』と告げたことです」
「あ・・・・・・・」

俊が頭を下げた。

「申し訳ありませんでした」
「え!?いえ・・・謝らないでください。小野瀬さんのお立場でしたら・・・当然のことですから」

紗奈は焦って頭を上げてくださいと言った。

「・・・・・長年あいつを見てきましたが、あんなに熱くなっている祐哉は初めてです。あなたのために、あなたと一緒になることを誰にも文句言わせないために、人が変わったように仕事に打ち込んでます。中園の中での地位を確立しようとしています。野心など全く持たなかったあの男が・・・・」

紗奈は初めて聞く話に驚いていた。

祐哉が自分とのことを考えて、必死に仕事をしていたとは・・・・。

胸がじーんと熱くなる。

「私にとって、祐哉は友人以上の存在です。命の恩人といってもいい。祐哉が幸せに生きていく助けをするのが私の役目です。今はあなたと幸せになって欲しいと、心から願っています」
「小野瀬さん・・・・」

言うべきことを言ったからか、俊は少し表情を緩めた。

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