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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
「・・・・・私も母親に苦労した部類の人間なんです。物心ついた時からヴァイオリンを握らされてスパルタ的に叩き込まれて、いざ弾けなくなった時にボロ雑巾を捨てるように捨てられました。死にたい、消えてしまいたいと思っていた私を救ってくれたのが祐哉です」


紗奈は俊の言葉をじっと聞いた。
この人も自分と同じような思いをしてきたのかという驚きと、妙な仲間意識が芽生える。

「だからあなたの気持ちも良くわかります。この家の人は皆、温かく優しい。だからこそ怯んでしまう。自分なんかがここにいていいのかと」

紗奈はそっと頷いた。

「小野瀬さんは・・・・・・ここにいると、どうやって決心されたんですか?」

俊は何かを思い出すように苦笑した。

「皆、強引なんです。祐哉も、征哉さんも、奥様も、旦那様も、会長も。皆してあれこれ餌を用意して私を引き止めて・・・・・。恩返しせざるを得ない」

征哉の様子からそれらが想像できて紗奈はクス・・・・・と笑った。

「祐哉が思ってる以上に、この家で育たなかった人間がここで生きていくのは大変です。でも、どうか恐れずに祐哉の気持ちに応えてやってください。私も出来る限りサポートしますから」

俊が祐哉を大事に想っていることが伝わって紗奈の胸を打った。
紗奈に向けた眼差しは優しく、見守りますという誓いがそこに見えた。

「小野瀬さん・・・・・・。ありがとうございます。私・・・・・・小野瀬さんのことちょっと怖かったんですけど・・・・・・似たような思いをして育ってきたって聞いて、少し・・・・・嬉しかった。こんなこと言っていいのかわからないけど、なんかお兄ちゃんが出来たみたいな感じがします」

俊はお兄ちゃんと言われて一瞬怯んだ表情をしたあと、明らかに照れて視線を彷徨わせた。
紗奈も自分で言っておいて突然恥ずかしさに襲われきょろきょろと視線を彷徨わせる。

「ご、ごめんなさい。図々しい事言って・・・・・」
「いえ・・・・・」

お互い照れて苦笑する。

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