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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
紗奈はしばらく呆然と立ち尽くしていたが、ハッと我に返るとすぐに帰り支度をし始めた。

一刻も早くこの家を出なくては。
母がこの家の人たちに何かするようになったらお終いだ。そんなことはさせられない。
それに、レイアにまで手が及んでしまったら・・・・・・。

紗奈はコテージから運んだ着替えや日用品をバッグに入れ、送って欲しいものは段ボールに入れた。

耕太に電話した方がいいのかもしれないが、まずはすぐにでもここを離れたかった。

一通り片付けて部屋を見渡す。大きなバッグ二つを両肩にかける。
紗奈の描いたオフィーリアと祐哉の肖像画が立てかけられているのを見た。

自分の人生でも最も精密に再現できたと思えるオフィーリアだった。
水に沈み込みそうなオフィーリア・・・・・・。いっそ自分も深く沈みこんでしまいたい。

待つと約束したのに、自分がいなくて祐哉はどう思うだろう。
絵の中の精悍な顔をした祐哉を見つめる。
祐哉に抱きしめられた感触を思い出したいのに、母の邪悪な声が邪魔をする。

早くお金を振り込んでこの家とは関係ないということを母にもう一度念押ししなくては・・・・・。
とりあえず俊にだけはコテージに戻ることを伝えに行こうと、アトリエを出ようと扉を開けた時、入ってこようとする人にドシン!とぶつかった。

「いった・・・・・ぁ。あれ?紗奈っちどうしたの?そんなカバン持って・・・・・」
「レイアちゃん・・・・・・!」
「お出かけ?あ!もしかして、祐哉くんを追っかけてロスに行っちゃうとか!?」

紗奈はレイアの屈託の無い顔を見て心を痛めた。
レイアの詳しい出自は知らない。それでもおそらくレイア自身複雑な思いを抱えて生きてきたはずで、紗奈のせいでそれらが浮き彫りになり苦しめることになったらと思うと身を引き裂かれる想いだった。

「どうしたの・・・・・?顔色悪いよ?」

レイアが心配そうに紗奈の目を覗き込む。

「レイアちゃん・・・・・・ごめん・・・・・・・。もし私のせいで・・・・・・」
「え?」

紗奈は目をぎゅっと瞑り首を振った。

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