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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
「・・・・ううん。そんなこと絶対させない・・・・・!ごめんね。私、長瀞に帰らなくちゃいけないの。小野瀬さん、今いるか知ってる?」
「俊?俊なら今さっき会社に行ったよ」

紗奈はどうしたらいいのか迷ったが、何よりもお金をすぐに振り込むことと、この家と無関係になることが優先と思い、レイアに託すことにした。

「レイアちゃん、申し訳ないんだけど、小野瀬さんに伝えてくれる?今までお世話になりました・・・・・って。また後日、叔父さんから今後の絵のこととか、連絡させますからって」
「それはいいけど・・・・・。どうしたの?そんな急に。何かあった?祐哉くん帰ってくるまでいた方がいいんじゃない?」

祐哉の名前が出て、紗奈の心がぎゅっと縮む。
祐哉に何も言わずに出ていくことは、彼をきっと傷つけるに違いない。

それでもここにいては、目の前のレイアや中園の家のみんなに迷惑がかかる。
それは紗奈にとって暗闇に引きずり込まれていくような、得体の知れない恐怖だった。

「祐哉さんには・・・・・・・」

紗奈は何かを伝えてもらおうと口を開いたが何も出てこない。
離れたくないの一心だった。

それでも・・・・・少なくとも今は離れなくてはいけない。

「レイアちゃん、ごめんね。今までありがとう。レイアちゃんとこの家で過ごせて、すごく楽しかった」
「待って!なんか変だよ!それじゃまるで最後の挨拶みたいじゃない・・・・・!」
「・・・・・・ううん。また。また会おうね」
「約束だよ?また私のこと描いてくれるんだよね?」

レイアは何かを感じ取ったのか、紗奈の手をぎゅっと掴んだ。

紗奈の目の奥がじん・・・・・と熱くなる。涙が浮かびそうになるのをごまかして微笑んだ。

「うん・・・・・約束!」

紗奈は精一杯の微笑みを見せてレイアから手を離した。

心の中でレイアにごめんと叫びながら紗奈は手を振って去った。
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