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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
その時電話が鳴った。
俊がすかさず出る。
「中園です。ええ・・・・・・。いいえ、もう彼女はこの家にはいません」
紗奈のことだとわかって、祐哉が俊から勢い良く受話器を奪った。
「もしもし、中園祐哉です」
「え?中園祐哉?・・・・・・・ああー、はいはい。あなたが紗奈の、こ、恋人とかいう?」
電話の相手は男だった。男がもごもごと歯切れ悪く話している。
「そうです。失礼ですがあなた様は?」
「わ、私は・・・・・・紗奈の・・・・・・父親です。あの・・・・・・元といったらいいのかな?ええ?なんだよ、知らないよ。だったらお前が話せよ」
男の後ろで女の声がする。おそらく紗奈の実母だ。
祐哉の目が鋭く光って俊に目配せする。
俊は黙って録音を始め、スピーカー状態にして皆に聞かせた。
「どういったご用件でしょう。私が代わりに伺います」
「いえね・・・・・・今日、その・・・・・二回目の振込みがね・・・・・・されるはずなんですけど、まだなくてですね。いつになるかなーって・・・・・」
やはり金の催促だった。祐哉は努めて冷静に答えた。
「こちらも彼女と連絡が取れない状況でして、その件に関しては存じ上げておりません」
「そうかぁ・・・・・・困ったなぁ・・・・・・。あの、でしたらあなたが代わりに・・・・・・」
祐哉に金を送れとへらへらした口調で言ってきた。
皆が顔を見合わせて嫌悪感を露にする。
突然電話からしゃがれた声をわざと高くした声が聞こえた。
「すみません。お電話代わりましたぁ。私、紗奈の母の須藤明日香と申します~。ごめんなさいね、突然。あの子約束したことを忘れているみたいで・・・・・」
「失礼ですが、今は松代耕太さんが彼女の親となっていると伺っています。あなたはどういうつもりでここに電話をしてきたのですか?」
「ああ、戸籍上はそうなんですけどね。私は実母でして・・・・・・。実の親が困っている時は・・・・・ねえ?ほら、やっぱり助け合いというか・・・・・・」
祐哉は怒りで爆発しそうになるのを堪えた。
この母親は紗奈を愛してなどいない。もはや彼女にとって紗奈は搾取する相手でしかないことがわかって、祐哉の心に強い嫌悪感が広がる。
「これ以上、彼女を苦しめるのは止めてください。私も彼女も、あなたに金を渡すつもりはない」
俊がすかさず出る。
「中園です。ええ・・・・・・。いいえ、もう彼女はこの家にはいません」
紗奈のことだとわかって、祐哉が俊から勢い良く受話器を奪った。
「もしもし、中園祐哉です」
「え?中園祐哉?・・・・・・・ああー、はいはい。あなたが紗奈の、こ、恋人とかいう?」
電話の相手は男だった。男がもごもごと歯切れ悪く話している。
「そうです。失礼ですがあなた様は?」
「わ、私は・・・・・・紗奈の・・・・・・父親です。あの・・・・・・元といったらいいのかな?ええ?なんだよ、知らないよ。だったらお前が話せよ」
男の後ろで女の声がする。おそらく紗奈の実母だ。
祐哉の目が鋭く光って俊に目配せする。
俊は黙って録音を始め、スピーカー状態にして皆に聞かせた。
「どういったご用件でしょう。私が代わりに伺います」
「いえね・・・・・・今日、その・・・・・二回目の振込みがね・・・・・・されるはずなんですけど、まだなくてですね。いつになるかなーって・・・・・」
やはり金の催促だった。祐哉は努めて冷静に答えた。
「こちらも彼女と連絡が取れない状況でして、その件に関しては存じ上げておりません」
「そうかぁ・・・・・・困ったなぁ・・・・・・。あの、でしたらあなたが代わりに・・・・・・」
祐哉に金を送れとへらへらした口調で言ってきた。
皆が顔を見合わせて嫌悪感を露にする。
突然電話からしゃがれた声をわざと高くした声が聞こえた。
「すみません。お電話代わりましたぁ。私、紗奈の母の須藤明日香と申します~。ごめんなさいね、突然。あの子約束したことを忘れているみたいで・・・・・」
「失礼ですが、今は松代耕太さんが彼女の親となっていると伺っています。あなたはどういうつもりでここに電話をしてきたのですか?」
「ああ、戸籍上はそうなんですけどね。私は実母でして・・・・・・。実の親が困っている時は・・・・・ねえ?ほら、やっぱり助け合いというか・・・・・・」
祐哉は怒りで爆発しそうになるのを堪えた。
この母親は紗奈を愛してなどいない。もはや彼女にとって紗奈は搾取する相手でしかないことがわかって、祐哉の心に強い嫌悪感が広がる。
「これ以上、彼女を苦しめるのは止めてください。私も彼女も、あなたに金を渡すつもりはない」