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月夜の迷子たち
第7章 忍び寄る闇
「おい、おばさん!さっきからマスコミマスコミ言ってるけど、そんなものはどうにでも出来るんだよ!鬼の首取ったみたいに大げさに騒いじゃってさぁ。やるならやってみろよ!その代わりな、この俺様に喧嘩売るからには覚悟しとけよ!あんたの旦那だけじゃない、娘息子も社会的に抹殺してやる。俺様がやるって決めたからには徹底的にやるからな!俺の愛する者たちを傷つけた罪は重い。いいか、それでもやるっていうなら今すぐそのマスコミとやらに写真を送りつけろ!売られた喧嘩、買ってやる!」

征哉の本気の怒りに誰もが言葉を失った。
こうなった時の兄は誰よりも頼もしい。敵に回したくないといつも思う。

「な、何言ってるのよ・・・・・・社会的に抹殺だなんて・・・・・・」

紗奈の母が怯んでいるのが伝わる。

「就職も結婚もできないからな。太陽の下歩けると思うなよ」

これじゃ征哉が恐喝しているようなものだ。まるで任侠の世界の台詞だ。

「や、やーねえ。そんな本気になっちゃって。と、とりあえず今日はもういいです。また今度・・・・・」
「次はない。二度と連絡してくるな。紗奈ちゃんに少しでも近づいたらあんたの家族の未来は無いと思え。嘘じゃない。全力であんたを地獄に引きずり下ろす」

ヒ・・・・・・という小さな悲鳴と共に電話は切れた。

「征哉くん・・・・・かっこいい・・・・・」

レイアが感嘆のため息をついて言った。

「僕はこういう類の人間が一番嫌いだ!」

征哉は叩きつけるように受話器を置いた。
祐哉はありがとうと征哉の肩に手を添えた。
兄の愛情深さがありがたかった。

「素敵なお母様をお持ちね。あの方」

突然声がして全員が扉に視線を向ける。
瑠花が部屋にゆっくりと入ってきた。
勝ち誇ったように笑っている。

あの女がこの家にふさわしくないことが、皆わかったでしょう?と物語っていた。

「瑠花・・・・・・・!」

征哉が瑠花の前に立って腕を掴んだ。

「今すぐあの母親に連絡しろ!お前が与えた情報は全て嘘だと言え!」

瑠花は腕を思い切り振って征哉から離れた。

「いやよ!本当のことだもの!」

レイアに向かって微笑む。

「・・・・あなた、良かったわね。由緒正しき血統の人間で。さすがの私も王室の血を引いてらっしゃる方には失礼なことはできないわ」

そう言いながらバカにしたような目線をレイアに向ける。
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