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月夜の迷子たち
第8章 物語の続き
初夏の涼しい風が吹いて木々や草花が揺れた。
「あー気持ちいい!」
澄子は伸びをして長瀞の山々をぐるりと見渡した。
「素敵なところに住んでるのね。こういう生活、憧れるわぁ」
澄子が自分を品定めに来たのかと思うと、紗奈は迂闊なことは言えないと無口になった。
「ね!祐哉が倒れてたって場所、案内してくれない!?」
「えっ」
「あなたが祐哉を発見した場所よ。浅瀬で見つけてくれたのよね?」
紗奈は澄子が少女のように目をキラキラさせているのを見て、苦笑した。
やっぱり征哉と祐哉の母親だなと思った。とても魅力的な人だ。
紗奈は祐哉が倒れていた清流へ澄子を案内した。
澄子は水の透明感に感動し、高そうな靴を脱いで素足で川に入った。
「冷たい!気持ちいい!」
ばしゃばしゃと水を蹴り上げる澄子を見て、同じ母親でも、自分の母親とは全然違うなぁと祐哉たちが羨ましくなる。
澄子は祐哉が倒れていた大きな岩の上に腰掛けると、紗奈においでおいでして隣に座るように言った。
紗奈も靴をぬいで川に入り、澄子の元へと向かう。
あの時とは違って、朝の光が木々から差し込み水面に反射して眩しかった。
「ここで倒れてたのね。なんだか不思議な出会いよねえ・・・・・・。あ、まずはお礼を言わないとね。息子を助けてくれてありがとう」
「いいえ・・・・・・本当は早く病院に連れていかなきゃいけなかったのに、私がぐずぐずしていたから・・・・・・。祐哉さんを重症にさせてしまったんです。ごめんなさい」
「ふふ・・・・・。わかるわぁ。紗奈ちゃんから離れたくなかったのね。あの子」
澄子は足先でパシャパシャと水を散らしながら言った。
「本当言うとね、祐哉があなたを選んで驚いてるの」
「・・・・・・・・」
「あ、変な意味じゃなくて。良い意味でね。あの子ねえ、妙に冷めたとこある子でね。物欲もないし、何かに熱くなることもなくて。強いて言えば乗馬くらいかしら。優しいんだけど、心がこもってないっていうかね。人を好きになることあるのかしらって、母親として心配してたのよね」
紗奈の方を見てふふ・・・・・と微笑む。
「あー気持ちいい!」
澄子は伸びをして長瀞の山々をぐるりと見渡した。
「素敵なところに住んでるのね。こういう生活、憧れるわぁ」
澄子が自分を品定めに来たのかと思うと、紗奈は迂闊なことは言えないと無口になった。
「ね!祐哉が倒れてたって場所、案内してくれない!?」
「えっ」
「あなたが祐哉を発見した場所よ。浅瀬で見つけてくれたのよね?」
紗奈は澄子が少女のように目をキラキラさせているのを見て、苦笑した。
やっぱり征哉と祐哉の母親だなと思った。とても魅力的な人だ。
紗奈は祐哉が倒れていた清流へ澄子を案内した。
澄子は水の透明感に感動し、高そうな靴を脱いで素足で川に入った。
「冷たい!気持ちいい!」
ばしゃばしゃと水を蹴り上げる澄子を見て、同じ母親でも、自分の母親とは全然違うなぁと祐哉たちが羨ましくなる。
澄子は祐哉が倒れていた大きな岩の上に腰掛けると、紗奈においでおいでして隣に座るように言った。
紗奈も靴をぬいで川に入り、澄子の元へと向かう。
あの時とは違って、朝の光が木々から差し込み水面に反射して眩しかった。
「ここで倒れてたのね。なんだか不思議な出会いよねえ・・・・・・。あ、まずはお礼を言わないとね。息子を助けてくれてありがとう」
「いいえ・・・・・・本当は早く病院に連れていかなきゃいけなかったのに、私がぐずぐずしていたから・・・・・・。祐哉さんを重症にさせてしまったんです。ごめんなさい」
「ふふ・・・・・。わかるわぁ。紗奈ちゃんから離れたくなかったのね。あの子」
澄子は足先でパシャパシャと水を散らしながら言った。
「本当言うとね、祐哉があなたを選んで驚いてるの」
「・・・・・・・・」
「あ、変な意味じゃなくて。良い意味でね。あの子ねえ、妙に冷めたとこある子でね。物欲もないし、何かに熱くなることもなくて。強いて言えば乗馬くらいかしら。優しいんだけど、心がこもってないっていうかね。人を好きになることあるのかしらって、母親として心配してたのよね」
紗奈の方を見てふふ・・・・・と微笑む。