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月夜の迷子たち
第8章 物語の続き
「嬉しいです・・・・・・。私、絵を描く以外何も出来ないですけど・・・・・頑張ります」
「無理しないでいいのよ。ゆっくり、やっていきましょ」

澄子は紗奈の肩を抱いて微笑んだ。
紗奈は温かい大きなものに包まれている気分だった。


「そろそろいいですか?」

祐哉の声が背後から聞こえた。

「いやよ。まだ紗奈ちゃんとおしゃべりしたいもん。ねー!?」

紗奈はクスクス笑いながらはい、と答えた。

「だめです。まだ川に入るような陽気じゃありません。そんなとこにいたらまた体調を崩す」

祐哉が怒りながら言った。

「あらー。早速うるさいこと言い出したわねえ。父親そっくり」

澄子はわかりましたよ、と言って岸へと上がっていった。

澄子が祐哉に向かってニヤニヤしながら話している。
祐哉が照れくさそうに睨んでいる。
仲の良い親子の姿を見て、もう紗奈の心は痛まなかった。

自分の側にいてくれる人たちを思い切り愛したいと思った。

その時だった。

川のせせらぎを聞いて紗奈の脳裏にある風景がバッと現れた。
時が止まって、様々な色彩が紗奈の内側から溢れ出て渦巻く。
ものすごい衝動に駆られた。

(・・・・・・・・描きたい!)

手がうずいている。今なら描ける。そう確信した。

紗奈はばしゃばしゃと走って岸へ向かうと、祐哉と澄子を見つめた。

「ごめんなさい・・・・・・私、今から描いてもいいですか!?」

祐哉が目を見開いて紗奈を見つめた。

「紗奈・・・・・・・」

澄子が嬉しそうに頷いた。

「もちろんよ!」

別れの挨拶をしようと澄子が腕を広げる。
紗奈は思わず澄子に抱きついた。

「お母さん、ありがとうございます!」
「また会いにくるわ」
「・・・・・・はい!」

澄子は紗奈の頭を撫でると手を振った。

祐哉が微笑んで二人を見ている。
紗奈は走ってコテージに向かった。

下書きはいらない。
すぐに絵の具を筆に取った。

まわりの音が消えた。

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