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月夜の迷子たち
第8章 物語の続き
祐哉はすぐに入籍して式だけでも挙げたいと言った。

披露宴はゆっくり時間をかけて準備することにして、結婚式は祐哉の提案で長瀞のコテージで親族だけで挙げることにした。

初夏の晴天の日曜日。青空の下に並べたテーブルにウェディングケーキや料理、ドリンクが用意される。
コテージの前の庭にバラのアーチと白いレースで作った簡単な祭壇を作った。

耕太に香織と千紗、征哉、レイア、玲央に俊。そして祐哉の両親と藤原。

参加者はそれだけだ。

牧師は征哉が務めた。

白いタキシード姿の祐哉のもとに耕太の腕に手をかけてウェディングドレス姿の紗奈がゆっくりと歩いていく。

ドレスは祐哉の母がどうしてもプレゼントしたいと言うので、お言葉に甘えることにした。
胸下をリボンで締めたエンパイヤドレスは、ふんわりと柔らかなシルエットで紗奈の可愛らしさが引き立つものだった。アンティークな雰囲気のビーズの装飾がガーデンウェディングにとても合っている。
後頭部ですっきりと長い髪をまとめてマリアベールを白い花で留めた。

レイアが一生懸命作ってくれた白いバラとすずらんのクラッチブーケを手にした紗奈を見て、みんなが妖精のようだと褒めてくれた。

紗奈は恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちで、祐哉の隣に立った。

耕太は感極まって泣いていた。
紗奈をよろしくと言って祐哉と握手をする。

祐哉は、力強く頷くと、両手で耕太の手を掴んで強く握り返した。

紗奈の胸がじーんと熱くなる。

祐哉が紗奈に向きなおって、じっと花嫁の姿を見つめる。
真剣な眼差しに紗奈の気持ちも引き締まった。

祐哉の腕に手をかけて祭壇の前に立つ征哉を二人で並んで見上げた。

征哉はにっこりと笑って二人を見つめると、聖書を手にして言った。

「Yuya, Will you take Sana to be your wedded wife to ・・・・・」
「日本語で言いなさいよ」

征哉の母のするどい声に、征哉は一瞬むっとした表情をしたが、参列者にさっと目を走らせると小さく咳払いし、改めて日本語で誓いの言葉を言った。

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