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月夜の迷子たち
第9章 【第二部】マスカレードの夜に
「店のことでお礼を言いたくて。その節はお世話になりました。おかげであの界隈では一番繁盛していますよ。でも、私も結婚しましたし、もう少し将来のことを考えて店を手放すことにしたんです」
「へえ・・・・何か別の事業でも?」
「考え中です。また征哉さんにアドバイスもらいに伺いますよ」

清人を呼ぶ声がして、では失礼・・・・・と軽く頭を下げて清人は去って行った。

「・・・・・あの大河清人がああも変わるかね。結婚てのは恐ろしいな」

征哉は首を横に振って信じられないという素振りをしてみせた。

「素晴らしいな、ではなくて?」
「恐ろしいだろ?退廃的な男を演出していたのが面白かったのに、あんな清々しい顔した大河清人なんて、何の魅力もない」

俊はたまに征哉の感覚を理解できない時がある。
過去の自分を変えてしまうほどの女性に出会ったということは、素晴らしいことではないのか・・・・。

「俊!こっちへいらっしゃい!」

俊はハッとして顔を上げた。和子が手招きして俊を呼んでいた。

隣には先ほどの女性が立ってこちらを見ていた。

マスカレードの演奏が始まった。
俊が征哉を見ると、ヴァイオリンを弾きながら表情を歪めることなく自然な仕草でウィンクする。

「・・・・・・・」

俊は諦めたようにため息をつき、眼鏡をくい・・・・と上げると和子の元へ向かった。

「和子様。本日も大変お綺麗で・・・・・」
「やあね。かしこまらないでいいのよ。ねえ、あなたその・・・・・ちょっと落ち込んでるんですって?この子と少し踊って元気を出したらいいわ。とても魅力的な子ですから、きっと元気をもらえるわよ」

(落ち込んでる・・・・・?)

俊は何のことかと訝しげに眉を寄せた。

「さあ、ほら、曲が始まってしまったわ!」

そう言うと和子は俊の腕に女性の腕を無理やりからませた。

「よろしく」

女性が笑いをかみ殺したような表情で挨拶した。

「・・・・・・よろしくお願いします」
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