この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
月夜の迷子たち
第11章 恋の種
「お・・・・・お母さん・・・・・仕事だから・・・・・・」
良く見ると女の子の服は汚れていた。靴もぼろぼろで、小さいサイズのものを無理やり履いているように見えた。
髪は長くぼさぼさに伸びきっていてだらしなく背中まで垂れ、前髪も目にかかって明らかに手入れされていなかった。
レイアは寿司と豚汁を近くのテーブルに置き、自分の髪をまとめていたシュシュを外すと、女の子の髪をそれで一つに結んであげた。
「食べるのに邪魔でしょう?」
何日も洗ってないのかもしれない。がさがさしていてスムーズに指が通らなかった。
女の子は戸惑いながらも、動かずされるがままにしていた。
「そっか。お母さん、忙しいんだね。でもいいな。お母さんがいて。私のお母さん、私があなたの年の時にはもういなかったから」
レイアは女の子が少しでも親近感を感じてくれたらと思い、自分のことを話した。
女の子は少し驚いた顔をしてレイアを見た。
「死んじゃったの?」
「そう。代わりにお母さんのお友達が育ててくれたの。その人が今の私のお母さん」
女の子はそう・・・・と小さく呟いた。
「お、お父さんは・・・・・・?」
「お父さんには会ったことないの」
女の子は今度ははっきりと驚いていた。
「ほんと?」
「ほんとだよ」
「私も!私も同じ!」
女の子は身を乗り出して言った。
「顔は写真で見たことある。一枚だけ。私とお母さんとお父さんと三人の。でも、お父さんがどこにいるのか、お母さんも知らないんだって・・・・・」
レイアは涙が出そうになるのを必死に堪えた。自分とは状況は違うが、この子の感じている孤独は理解できる。
「そっか。私は顔も見たことないんだ。でも、一緒だね」
レイアは女の子の手を取って握手した。
ひんやりとして小さい手がレイアの手にすっぽりおさまって、すこし震えた。
「私はレイアっていうの。あたなのお名前は?」
「私は・・・・・若葉」
「若葉ちゃんかぁ!素敵な名前ね。お母さんがつけてくれたの?」
「うん!」
女の子が初めて可愛らしい笑顔を見せてくれた。レイアも微笑み返した。
寿司と豚汁を置いたテーブルにつれていくと、今度は受け取って食べてくれた。
ポスターを見て、勇気を出して一人で来てくれたのだろうか。
レイアは心の奥がじんわり熱くなるのを感じた。
良く見ると女の子の服は汚れていた。靴もぼろぼろで、小さいサイズのものを無理やり履いているように見えた。
髪は長くぼさぼさに伸びきっていてだらしなく背中まで垂れ、前髪も目にかかって明らかに手入れされていなかった。
レイアは寿司と豚汁を近くのテーブルに置き、自分の髪をまとめていたシュシュを外すと、女の子の髪をそれで一つに結んであげた。
「食べるのに邪魔でしょう?」
何日も洗ってないのかもしれない。がさがさしていてスムーズに指が通らなかった。
女の子は戸惑いながらも、動かずされるがままにしていた。
「そっか。お母さん、忙しいんだね。でもいいな。お母さんがいて。私のお母さん、私があなたの年の時にはもういなかったから」
レイアは女の子が少しでも親近感を感じてくれたらと思い、自分のことを話した。
女の子は少し驚いた顔をしてレイアを見た。
「死んじゃったの?」
「そう。代わりにお母さんのお友達が育ててくれたの。その人が今の私のお母さん」
女の子はそう・・・・と小さく呟いた。
「お、お父さんは・・・・・・?」
「お父さんには会ったことないの」
女の子は今度ははっきりと驚いていた。
「ほんと?」
「ほんとだよ」
「私も!私も同じ!」
女の子は身を乗り出して言った。
「顔は写真で見たことある。一枚だけ。私とお母さんとお父さんと三人の。でも、お父さんがどこにいるのか、お母さんも知らないんだって・・・・・」
レイアは涙が出そうになるのを必死に堪えた。自分とは状況は違うが、この子の感じている孤独は理解できる。
「そっか。私は顔も見たことないんだ。でも、一緒だね」
レイアは女の子の手を取って握手した。
ひんやりとして小さい手がレイアの手にすっぽりおさまって、すこし震えた。
「私はレイアっていうの。あたなのお名前は?」
「私は・・・・・若葉」
「若葉ちゃんかぁ!素敵な名前ね。お母さんがつけてくれたの?」
「うん!」
女の子が初めて可愛らしい笑顔を見せてくれた。レイアも微笑み返した。
寿司と豚汁を置いたテーブルにつれていくと、今度は受け取って食べてくれた。
ポスターを見て、勇気を出して一人で来てくれたのだろうか。
レイアは心の奥がじんわり熱くなるのを感じた。