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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
「小さな子がそんな大きな視点で考えられるわけないじゃない。自分がいる狭い世界でしか比較しようがないんだから。まわりの子と違ったら、やっぱり辛いのよ」
「そういうことならこの僕に理解しろって言っても無理だよ。生まれながらにして与えられた人間だからな。だからこそ今人に与えられる。世の中なんて平等じゃないよ。君の言うように理不尽なんだ」

「・・・・・・そういう風に言われると、もう何も言えないじゃない。征哉くんて時々ムカつくわよね」
「ちょっと待ってよ。さっき世の中に貢献してるって褒めてくれてなかったっけ?」

レイアが言い返そうとした時、屋敷から俊が庭に出てきた。
征哉は俊を見るなり慌てて立ち上がる。

「いいかい?僕は僕に出来る範囲で世の中に貢献するだけさ。一時感情が盛り上がってその時だけ全力を出しても意味がないんだ。大事なのは継続で、それこそが一番難しいことなんだよ。無理しない程度にやって長く続けることに意味がある。レイアちゃん、僕の分も頑張って!資金はいくらでも出そう。人形劇の劇団呼ぶとか、マジックショーなんかも喜ぶよ。色々アイデアを出して子供たちを喜ばせてやってくれたまえ。では次は大分に行ってくる!アデュー!!」

征哉は逃げるようにして去って行った。
俊がレイアの前に到着した時には姿は見えなくなっていた。

「今征哉さんがいたな?」
「うん。バイト代渡しにきてくれた。あなたを見るなり帰っちゃったけど」

俊は大きなため息をつくと、レイアと一緒にテーブルを片付け始めた。

「まったくあの人は・・・・・・」
「全国の混浴温泉巡りしてて忙しいんだって」

俊はレイアの言葉に目を大きくすると、先ほどより一層大きいため息をついた。
怒りを通り越して諦めの境地に陥ったようだった。

「いいなあ。温泉。次は大分だって」
「・・・・・君も一緒に行ったらいいじゃないか。喜んで連れていってくれるだろ」
「えー?征哉くんと温泉なんか入ったら、妊娠しちゃう」

レイアは冗談のつもりで言ったが、俊は笑わなかった。

その代わりレイアが運ぼうとしていたトレーを手に取って言った。

「今日は見舞いに行かないのか?」
「行くよ。どうして?」
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