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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
「レイアからお話は伺っています。どうぞお座りになって」

俊は失礼しますと言って椅子に座ると、先日の子ども食堂の様子を撮影した写真とイベントの記録をまとめたものを友子に手渡した。

「レイアさんにはこういったイベントのお仕事をしていただいてまして・・・・・」

俊が友子に丁寧に説明を始める。友子は頷きながら資料を見て話を聞いていた。
なんだか見慣れない光景で照れくさかった。

レイアは花束を花瓶に移すために部屋を出た。
顔見知りの看護士に声をかけられる。

「レイアちゃんの彼氏?」
「違うよ!うーんと、友達?ちょっと違うかな?・・・・・同僚?だよ!」

へえ~?と意味深な笑みを浮かべて去っていく。
そう聞かれてみると、俊は自分にとってどういう関係性を持った人なのだろうとふと思う。
確かに今は同僚だが、そうなったのは最近のことだ。
友達・・・・・にしては距離があるし、顔見知りよりは近いと思う。
はっきりと言葉にできなかった。

病室に戻ると、一通り説明が終わって友子と俊は雑談しているようだった。

「この子、ちょっと変わっているとこあるから、皆さんにご迷惑おかけしてないかしら?」
「大丈夫です。皆、レイアさんが来てくれると喜んでいますよ」

レイアは友子の枕元にある椅子に座った。
かしこまった俊の口調にくすぐったい気持ちになる。

「レイア、楽しそうだったもんね。良いお仕事見つかって、良かったね」

友子はレイアの手に手をそっと重ねると、優しく微笑んで言った。
友子は常々、自分のことはいいからレイアのやりたいことをやりなさいと言ってくれていた。
若い時は永遠じゃないのだから、と。

そういわれても、’これ’というものがなかった。

今回こども食堂の仕事をしてみて、とてもやり甲斐を感じ、充実した日々を送れたことに喜びを感じていた。

友子はそれをちゃんと感じ取っていたのだった。

「小野瀬さん。レイアを、よろしくお願いしますね」

友子は深々と頭を下げた。俊もきっちりと頭を下げて応える。

「ついでに、レイアに良い人を紹介してくれないかしら」

友子がいたずらっぽく笑って言った。

「ちょっと!友子さん、何言ってるの!?」

友子はあまりこういった話をしてこないのに、なぜ今日に限ってこんなことを言うのだろうか。
レイアは戸惑った。
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