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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
「はじめまして。南といいます」
「はじめまして。玲央です」

玲央が頭を下げた。

「お話はいつも伺っています。いやぁ、本当に素敵な息子さんですね」

南は感嘆の声を上げた。

「お忙しい方なのに、いつも会いにきてくださってるのよ。多分、私の次に来てくれてるわね」

レイアが少し冷やかすように言った。

「いや、近頃はそんなにやることもなくてね。こうして友子さんに会いにくることが、日々の楽しみなんです」

そういうと、手にしていたものを友子に渡した。包装紙に包まれた本のようだった。

「南さん、お願いですから、もう手ぶらで来てください。こうして毎回何かいただくのは・・・・・・」

友子が少し困ったような表情で言った。

「わかりました。今回で最後にします」

おそらく南は毎回そう言っては何かを持ってきているのだろう。
『あなたへのプレゼントを考えるのが今の生きがいなのです』と目が物語っている。

友子を見つめる眼差しは温かく、レイアは見ていていつも照れてしまうのだった。

レイアは立ち上がって南に椅子をすすめた。

「いや、いいよ。親子水入らずの時間を邪魔して悪かったね。顔を見に来ただけだから、もう帰るよ」
「いいのよ。私たちこそもう帰るから。お二人でごゆっくりなさってくださいませ」

そう言うと、玲央に帰ろうと促した。
玲央は立ち上がると、南に向き直って頭を下げた。

「今後も母をよろしくお願いします」

南は少し驚いた表情をした後、すぐに微笑んで答えた。

「はい。私に出来ることがあれば何でもするつもりなので、もっと積極的に頼って欲しいと思っていると、お母様にお伝えください」

玲央は笑って頷いた。

「伝えておきます」

友子は珍しく照れて、何と言ったらいいのかという表情で二人を見ていた。

「じゃあね!友子さん、また明日くるね」

レイアは手を振って玲央と病室を出た。
先ほどの絵画集に南が気付いて、二人で楽しそうに会話している。
明るい友子の声が聞こえて、レイアは安堵して病院を去った。

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