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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
病院を出ると、日が暮れかかっていた。
駅に向かって歩いていく。
「あの人、良い人そうだな。友子さんの方は・・・・・まあ、まだちょっと躊躇してるってとこか」
玲央が南と友子のことを推察して言った。
「そうなの!すごくお似合いだし、南さんも多分すごい押してるんだけど、友子さんがためらってるって感じなのよねぇ」
「病気してるからな。なかなかそういうのオーケーできないんじゃない?」
「でも、二人がうまくいったら嬉しいでしょう?」
「それはもちろん。友子さんにも幸せになってほしいよ」
「最後、絵の話してる時の友子さんの声聞いた?南さん、あと一押しだと思うんだけどなぁ」
涼しい風がさあ・・・・・・と吹いて、二人の頬を撫でた。
「俺さぁ・・・・・・。あの絵、母さんが好きだと思ってたんだ」
玲央が母のことを口にしたので、レイアは驚いて歩みを止めた。
「母さんの棺に入れられた花、オフィーリアに描かれてる花だったって・・・・・お前は知らないよな」
レイアはドキリとして目を見開いた。
母の葬儀の時、自分たちは5歳だった。
たくさんの花に囲まれていたのは覚えているが、どんな花だったかまでは覚えてない。
「三色菫、雛菊に撫子、勿忘草、パンジー・・・・・。母さんのお墓参りでも友子さんが持っていく花だ」
母は癌だった。棺の中の母はすっかり痩せてしまっていたが、花に囲まれて目を閉じて横たわっている姿は夢見る少女のようでもあった。
先ほど見たオフィーリアとリンクする。まるであの絵の再現ではないか。
「それって・・・・・・」
レイアは玲央を見上げた。
玲央は真っ直ぐ前を見て言った。
「母さんがあの絵が好きで、自分が死んだら絵にある花を入れてほしいって頼んだと思ってたけど、さっきの友子さん見てたら、違ったのかなって」
「友子さんがあの絵が好きだから、自分で決めて入れたってこと?」
「そうじゃなくて・・・・・・・」
玲央はそこまで言ったものの、先を続けるのをやめてしまった。
言っていいのか迷っているようだったが、レイアにはわかってしまった。
「お母さんが、そうさせたってこと?自分を忘れさせないために?」
「そうかもしれないってだけ。はっきりとはわからないよ」
「・・・・・・・・」
駅に向かって歩いていく。
「あの人、良い人そうだな。友子さんの方は・・・・・まあ、まだちょっと躊躇してるってとこか」
玲央が南と友子のことを推察して言った。
「そうなの!すごくお似合いだし、南さんも多分すごい押してるんだけど、友子さんがためらってるって感じなのよねぇ」
「病気してるからな。なかなかそういうのオーケーできないんじゃない?」
「でも、二人がうまくいったら嬉しいでしょう?」
「それはもちろん。友子さんにも幸せになってほしいよ」
「最後、絵の話してる時の友子さんの声聞いた?南さん、あと一押しだと思うんだけどなぁ」
涼しい風がさあ・・・・・・と吹いて、二人の頬を撫でた。
「俺さぁ・・・・・・。あの絵、母さんが好きだと思ってたんだ」
玲央が母のことを口にしたので、レイアは驚いて歩みを止めた。
「母さんの棺に入れられた花、オフィーリアに描かれてる花だったって・・・・・お前は知らないよな」
レイアはドキリとして目を見開いた。
母の葬儀の時、自分たちは5歳だった。
たくさんの花に囲まれていたのは覚えているが、どんな花だったかまでは覚えてない。
「三色菫、雛菊に撫子、勿忘草、パンジー・・・・・。母さんのお墓参りでも友子さんが持っていく花だ」
母は癌だった。棺の中の母はすっかり痩せてしまっていたが、花に囲まれて目を閉じて横たわっている姿は夢見る少女のようでもあった。
先ほど見たオフィーリアとリンクする。まるであの絵の再現ではないか。
「それって・・・・・・」
レイアは玲央を見上げた。
玲央は真っ直ぐ前を見て言った。
「母さんがあの絵が好きで、自分が死んだら絵にある花を入れてほしいって頼んだと思ってたけど、さっきの友子さん見てたら、違ったのかなって」
「友子さんがあの絵が好きだから、自分で決めて入れたってこと?」
「そうじゃなくて・・・・・・・」
玲央はそこまで言ったものの、先を続けるのをやめてしまった。
言っていいのか迷っているようだったが、レイアにはわかってしまった。
「お母さんが、そうさせたってこと?自分を忘れさせないために?」
「そうかもしれないってだけ。はっきりとはわからないよ」
「・・・・・・・・」