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月夜の迷子たち
第2章 再会
「よし、こんなもんか。化粧は・・・・いらないか。すでに睫ばさばさ、お肌すべすべの紗奈ちゃんだもんな。口紅くらい買うか」
耕太は香織がいつも紗奈を褒める時にいう台詞を真似て言った。
百貨店なんて何年ぶりだろう。年が明けて10日もすると、世間の雰囲気も通常の冬の一日でしかなかったが、長瀞の山奥でずっと暮らしている紗奈にとって東京の街はお祭りのようだった。
白いワンピーススーツにベージュのハイヒールといったかしこまった服装に、紗奈の体に力が入り、不自然な動きになる。
普段はリネンやコットンのワンピース、もしくはロールアップジーンズにTシャツやパーカーといったゆとりのある格好しかしない。それにエプロンが定番スタイルだった。
髪も、頭の後ろで一つに結ぶかおだんごヘアが通常であるが、耕太に言われたようにハーフアップにしてパールがあしらわれたバレッタでとめた。
紗奈の美しく長いさらさらした髪が際立つ。
パールのイヤリングとネックレスに茶色のバッグは香織が貸してくれた。
トイレに行き、化粧品売り場で買ったピンクのルージュをひいてアクセサリーをつけてから耕太のもとに戻る。
「紗奈・・・おまえ、どこかのお嬢さんみたいだぞ」
いつも紗奈のよれよれの格好しか見ていない耕太も驚いて言った。
「いける・・・・!きっといける!!」
耕太は自分に言い聞かせるようにこぶしを握った。
「ここまでする必要ある?」
「いつものジーパン&ダボシャツでなんか行ってみろ!この話はなかったことに・・・なんてなったらどうするんだ!とりあえず最初騙せたらそれでいいんだから。な、今日だけ今日だけ」
「耕太くん・・・・・詐欺師みたい・・・・・」
「おい・・・・おいおいおい、やめろよ!俺みたいな顔にすぐ出るタイプの人間が詐欺師になれるわけないだろお!」
耕太は冗談をこうしていつも真に受ける。紗奈はおかしくて笑った。
車に乗り込み、いよいよ依頼主の家へと向かう。
「耕太くんはもう会ったのよね?どんな人だった?」
少し緊張した面持ちで車を運転する耕太を見て尋ねた。
耕太は香織がいつも紗奈を褒める時にいう台詞を真似て言った。
百貨店なんて何年ぶりだろう。年が明けて10日もすると、世間の雰囲気も通常の冬の一日でしかなかったが、長瀞の山奥でずっと暮らしている紗奈にとって東京の街はお祭りのようだった。
白いワンピーススーツにベージュのハイヒールといったかしこまった服装に、紗奈の体に力が入り、不自然な動きになる。
普段はリネンやコットンのワンピース、もしくはロールアップジーンズにTシャツやパーカーといったゆとりのある格好しかしない。それにエプロンが定番スタイルだった。
髪も、頭の後ろで一つに結ぶかおだんごヘアが通常であるが、耕太に言われたようにハーフアップにしてパールがあしらわれたバレッタでとめた。
紗奈の美しく長いさらさらした髪が際立つ。
パールのイヤリングとネックレスに茶色のバッグは香織が貸してくれた。
トイレに行き、化粧品売り場で買ったピンクのルージュをひいてアクセサリーをつけてから耕太のもとに戻る。
「紗奈・・・おまえ、どこかのお嬢さんみたいだぞ」
いつも紗奈のよれよれの格好しか見ていない耕太も驚いて言った。
「いける・・・・!きっといける!!」
耕太は自分に言い聞かせるようにこぶしを握った。
「ここまでする必要ある?」
「いつものジーパン&ダボシャツでなんか行ってみろ!この話はなかったことに・・・なんてなったらどうするんだ!とりあえず最初騙せたらそれでいいんだから。な、今日だけ今日だけ」
「耕太くん・・・・・詐欺師みたい・・・・・」
「おい・・・・おいおいおい、やめろよ!俺みたいな顔にすぐ出るタイプの人間が詐欺師になれるわけないだろお!」
耕太は冗談をこうしていつも真に受ける。紗奈はおかしくて笑った。
車に乗り込み、いよいよ依頼主の家へと向かう。
「耕太くんはもう会ったのよね?どんな人だった?」
少し緊張した面持ちで車を運転する耕太を見て尋ねた。