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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
俊は個室の高そうな焼き肉店に連れていってくれた。

レイアは野菜スティックやらサラダやら生春巻を注目した。
俊はビールを頼んだ。

「肉は?」

俊が不思議そうに尋ねる。

「お肉は最後に少し食べられたらいいんだ。後で注文する。あ、あなたは食べてね。別に体型気にしてとかじゃないから。ただ野菜食べたいだけ」

俊は焼き肉食べに来て肉を食べないのかと文句も言わずにレイアの言う通りにした。

「今ね、弟が帰ってきてるの」

レイアはウーロン茶を飲みながら玲央の話をした。

「弟?君、弟いるのか?」
「あ、そうだよ。言ってなかった?双子の弟。玲央っていうの。イギリスに留学してて、イースター?とかでお休みなんだって」
「双子・・・・・!?」

俊は素直に驚いていた。

「だからね、実を言うとここ最近は玲央とばかり過ごしてたのよね」
「だから来なかったのか?」
「いやー、まあ、確かにちょっとはあなたに会うのが気まずかったんだけど」

俊はそうかと言ってうつむいた。

「・・・・・あの時のこと、ちょっと話していいか?前置きが長くなるけど」

レイアはどうぞと言って、運ばれてきた野菜スティックを何もつけずにポリポリ食べた。

「俺がヴァイオリンのソリストになろうとしてたのは知ってる?」

レイアは首を横にふった。ヴァイオリンが上手いのは知っていたが、プロになろうとしてたのは知らなかった。

俊はなぜ自分がヴァイオリニストではなく、今の仕事に就いたのか話し始めた。


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