この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
月夜の迷子たち
第11章 恋の種
俊の母親は有名なオーケストラのヴァイオリン奏者で、父親は音大の教授だった。
母親は俊を一流のソリストにしようと幼い頃から英才教育を施して育てた。
有名な海外のヴァイオリン講師をつけ、体育の授業も手を怪我しそうなものは休ませ、学校が終われば食事と風呂以外寝るまで練習、朝も早起きして練習・・・・・・。
国内のコンクールは必ず上位だった。中学を卒業するまではまだ俊自身もソリストになりたいと思っていたし、必死に夢を追いかけていた。母もまだその時は、熱心な母親程度だったように思う。
しかし、母のライバルであり親友であった女性の娘・・・・・俊より5つ年上の娘が、有名な国際コンクールで優勝してから何かが狂い始めた。
夜中に突然叩き起こされ練習をさせられたり、上手く弾けないと暴力を振るうようになった。その娘が単独コンサートを行うとなったら荒れ、その評判が良ければ更に荒れた。
日に日に狂気じみていく母と父は言い争いが絶えず、二人は俊が高校卒業と共に離婚した。
俊のヴァイオリンの腕は母の期待通りに上達していったが、俊の精神は限界をきたしていた。
大事なコンクールを控えたある日、突然左耳がこもったようになり低音域の音が聴こえなくなった。
病院へ行って薬を処方されても治らない。ストレスが主な原因の難聴と言われたが、母はそれでも練習を続けさせた。
コンクールは失敗に終わり、母は俊に向かって酷い言葉を投げつけた。
難聴はしばらくすると治ったが、コンクールが近づくと再発した。
それでも俊は必死に練習した。母の求めるレベルに達するまで毎日毎日・・・・・。
「相当無理してたんだろうな。低音が聴こえないだけじゃなくて、目眩や吐き気がするようになって・・・・・。ステージに立つのもやっとだった。ある日演奏中に倒れて、そうなって初めて母は’諦めた’。俺を気遣うでも心配するでもなく、ソリストにすることを諦めたんだ」
レイアはあっという間に野菜スティックを食べ終わり、追加を注文した。
俊は何も食べず、ビールにも手をつけなかった。
「俺、ストレスのせいですごい太ってて。肌も荒れまくって汚かった。ヴァイオリンだけで人と関わっていたようなもので・・・・・。女の人は特に目を合わせて話してくれなくて。それがすごくコンプレックスだった」
母親は俊を一流のソリストにしようと幼い頃から英才教育を施して育てた。
有名な海外のヴァイオリン講師をつけ、体育の授業も手を怪我しそうなものは休ませ、学校が終われば食事と風呂以外寝るまで練習、朝も早起きして練習・・・・・・。
国内のコンクールは必ず上位だった。中学を卒業するまではまだ俊自身もソリストになりたいと思っていたし、必死に夢を追いかけていた。母もまだその時は、熱心な母親程度だったように思う。
しかし、母のライバルであり親友であった女性の娘・・・・・俊より5つ年上の娘が、有名な国際コンクールで優勝してから何かが狂い始めた。
夜中に突然叩き起こされ練習をさせられたり、上手く弾けないと暴力を振るうようになった。その娘が単独コンサートを行うとなったら荒れ、その評判が良ければ更に荒れた。
日に日に狂気じみていく母と父は言い争いが絶えず、二人は俊が高校卒業と共に離婚した。
俊のヴァイオリンの腕は母の期待通りに上達していったが、俊の精神は限界をきたしていた。
大事なコンクールを控えたある日、突然左耳がこもったようになり低音域の音が聴こえなくなった。
病院へ行って薬を処方されても治らない。ストレスが主な原因の難聴と言われたが、母はそれでも練習を続けさせた。
コンクールは失敗に終わり、母は俊に向かって酷い言葉を投げつけた。
難聴はしばらくすると治ったが、コンクールが近づくと再発した。
それでも俊は必死に練習した。母の求めるレベルに達するまで毎日毎日・・・・・。
「相当無理してたんだろうな。低音が聴こえないだけじゃなくて、目眩や吐き気がするようになって・・・・・。ステージに立つのもやっとだった。ある日演奏中に倒れて、そうなって初めて母は’諦めた’。俺を気遣うでも心配するでもなく、ソリストにすることを諦めたんだ」
レイアはあっという間に野菜スティックを食べ終わり、追加を注文した。
俊は何も食べず、ビールにも手をつけなかった。
「俺、ストレスのせいですごい太ってて。肌も荒れまくって汚かった。ヴァイオリンだけで人と関わっていたようなもので・・・・・。女の人は特に目を合わせて話してくれなくて。それがすごくコンプレックスだった」