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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
レイアがイヒヒと笑って離れようとした時だった。

俊の手がレイアの首に伸びて、グイと力強く引き寄せられた。

え?と思った瞬間に、俊の唇がレイアの唇を塞いでいた。

「・・・・・・・!」

俊の弾力のある唇がレイアの柔らかな唇を強く吸った。

「んっ・・・・・・!」

レイアがバランスを崩して階下へと落ちそうになり、唇が離れる。
俊が慌てて抱きとめた。

「・・・・・・・・」

二人とも見つめ合う。
俊の目は怒りとも苦悩ともどちらとも見える激しい感情に溢れていた。

あまりにも切羽詰った表情に、レイアは怯んだ。

「ご・・・・・めんなさ・・・・・・」

遠くから和子がレイアを呼んでいる。
俊は苦痛を感じているように表情を歪めると、勢い良く階段を降りて行った。

(どうしよう・・・・・またやってしまった・・・・・・)

レイアは自分の考えなしの行動に頭を抱えた。
せっかく仲直りできたと思ったのに、余計悪化させてしまった。

落ち込みながら撮影部屋に戻ると、紺色の軍服に着替えた玲央がこれ以上ないくらい無愛想に座っていた。

レイアに冷たい視線を向け、遅い!と非難する。
レイアはごめんごめんと謝って玲央の隣に座った。

笑顔で対応したが、ふと気がゆるむと俊の顔が浮かんでくる。
今はとりあえず撮影会に集中して、さっきのことは後でゆっくり考えよう・・・・・。

紗奈も遊びに来てくれ紗奈にも着替えさえた。自分が着るのと違ってとても可愛らしい。途中から参加した祐哉も愛しくて仕方がないという表情で紗奈を見ていた。
惹かれあっている二人を見ていると微笑ましくなると同時に、うらやましくもあった。

征哉も登場して、ひとしきり玲央を見て衝撃を受けた後、誰かが楽器を弾く姿も撮りたいと言い出した。

モデル代を倍出すと聞いて、レイアと玲央の目が光る。

征哉がそれに乗って、急遽音楽会が開催された。
俊があたりまえのように召還され、バイオリンを手渡されている。

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