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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
レイアは紗奈と並んで皆の様子を見ていた。
ヴァイオリンを弾く俊の姿を見ると、胸がドキドキした。
先ほどのキスの感触が急に思い出される。
怒っているようにも、情熱を抑えられないようにも感じた、短いけど力強いキス・・・・・。
俊の大きな身体からは想像できない、繊細で美しい音が部屋に響く。
真剣な表情でヴァイオリンを弾く横顔が端正で凛々しく見え、レイアは見惚れた。
「やっぱり、マーラーのアダージェットが聴きたいわ!」
誰かが言った言葉に、俊が明らかに動揺した表情を見せた。
何か思い入れのある曲なのだろうか・・・・・。
征哉がやけに嬉しそうにニヤついているのを見ると、何か特別な曲なのかもしれない。
弾き始める前の一瞬、俊が自分を見た気がした。
ゆったりとした陶酔的な音色から始まるその曲は、人を愛する切なさと喜びを見事に音に現した曲だった。
愛しくてたまらないという想いを心の奥底から絞り出し、切なくて苦しい気持ちを解放させ、ピュアでもあり官能的でもあり、これ以上ないくらい美しい旋律だった。
レイアは人生で初めて味わう大きな衝撃を受けていた。
俊の苦しいほどの愛しいと想う気持ちが溢れ出ていた。
全てレイアに向けられていたのがわかった。
俊が恐々と、まるでこの世で一番大事なものを抱きしめるように、そっと自分のことを抱きしめているような感覚になった。
中間部の不安定なメロディからは俊の絶望や苦しみが、ゆったりとした甘いメロディからは俊がレイアを愛しく想う気持ちが、隠すことなくさらけ出されていた。
これは俊からレイアへの愛の告白だ。
どんな言葉よりも、心を揺さぶる告白だった。
レイアは俊から目を離すことが出来なかった。
恋に落ちた・・・・・。
はっきりと自分で自覚した。
俊の切なさが痛いほど伝わってきて、レイアの心は揺れに揺れた。
(そうか・・・・・恋って、こんなに切ない気持ちになるんだ・・・・・・)
胸がきゅ・・・・・と締め付けられるという感覚を、レイアはこの時初めて味わった。
ヴァイオリンを弾く俊の姿を見ると、胸がドキドキした。
先ほどのキスの感触が急に思い出される。
怒っているようにも、情熱を抑えられないようにも感じた、短いけど力強いキス・・・・・。
俊の大きな身体からは想像できない、繊細で美しい音が部屋に響く。
真剣な表情でヴァイオリンを弾く横顔が端正で凛々しく見え、レイアは見惚れた。
「やっぱり、マーラーのアダージェットが聴きたいわ!」
誰かが言った言葉に、俊が明らかに動揺した表情を見せた。
何か思い入れのある曲なのだろうか・・・・・。
征哉がやけに嬉しそうにニヤついているのを見ると、何か特別な曲なのかもしれない。
弾き始める前の一瞬、俊が自分を見た気がした。
ゆったりとした陶酔的な音色から始まるその曲は、人を愛する切なさと喜びを見事に音に現した曲だった。
愛しくてたまらないという想いを心の奥底から絞り出し、切なくて苦しい気持ちを解放させ、ピュアでもあり官能的でもあり、これ以上ないくらい美しい旋律だった。
レイアは人生で初めて味わう大きな衝撃を受けていた。
俊の苦しいほどの愛しいと想う気持ちが溢れ出ていた。
全てレイアに向けられていたのがわかった。
俊が恐々と、まるでこの世で一番大事なものを抱きしめるように、そっと自分のことを抱きしめているような感覚になった。
中間部の不安定なメロディからは俊の絶望や苦しみが、ゆったりとした甘いメロディからは俊がレイアを愛しく想う気持ちが、隠すことなくさらけ出されていた。
これは俊からレイアへの愛の告白だ。
どんな言葉よりも、心を揺さぶる告白だった。
レイアは俊から目を離すことが出来なかった。
恋に落ちた・・・・・。
はっきりと自分で自覚した。
俊の切なさが痛いほど伝わってきて、レイアの心は揺れに揺れた。
(そうか・・・・・恋って、こんなに切ない気持ちになるんだ・・・・・・)
胸がきゅ・・・・・と締め付けられるという感覚を、レイアはこの時初めて味わった。