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月夜の迷子たち
第11章 恋の種
「いつから?」

いつから自分のことが好きなのだという問いに俊は言い辛そうに答えた。

「たぶん・・・・・最初に会った時から・・・・・・・」

レイアは内心驚いていた。全くそんな素振りを見せなかったからだ。

(最初からかぁ・・・・・全然気づかなかったな・・・・・・)

レイアの心がじんわり暖かくなる。
あのポーカーフェイスの俊が、自分のことをずっと好きだったのだと思うと、気づかないで苦しめていたことなど気にも留めず嬉しくなる。

俊は目を瞑って黙っていた。俺の気持ちは伝えたから、あとは君が答えを出すだけだ、と。
しかし、その暗い表情は、まるでレイアに振られて落ち込んでいるかのように見える。

レイアは俊の頬にそっとキスした。

俊が驚いてレイアに視線を向ける。

「・・・・・・さっきみたいな不意打ちじゃなくて、もう一回ちゃんとキスしよ?」
「・・・・・・・・」

俊は驚きで呆然としてレイアを見た。

「あなたへの気持ち、ちゃんと確かめたいっていうか」

レイアは俊が動こうとしないので、自分から顔を近づけた。

「今度は冗談じゃなくて、本気だから・・・・・」

そう言うとゆっくり俊に唇を重ねた。
俊は事態が把握できないのか、身体を硬くしてキスを受けていた。

レイアが唇を離して俊の目を覗きこむと、俊は信じられないといった風にわずかに首を横に振った。

「・・・・・・俺を軽蔑してるんじゃないのか?」
「軽蔑?どうして?」

レイアは思いがけない言葉に文字通り首を傾げた。
俊は視線を反らせて言いたくないことを搾り出すように、表情を歪めて言った。

「関係ない女性たちの気持ちを弄んで、傷つけるような男だ」

言われてようやく先日の焼肉店で話してくれたことを思い出す。


昔の自分を傷つけた女性たちへの腹いせに、関係ない女性たちを傷つけた自分のことをレイアが軽蔑しているのではないかと思っているようだ。
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