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第2章 再会

「そういえば、肖像画ともう一つ追加で描いて欲しいんだって」
「ええ！？そういう大事なことはもっと早く言ってよ！」

紗奈は大きな声を上げそうになるのを堪えて耕太を責めた。

「ごめんごめん、俺も昨日急に言われて」
「何の絵なの？」
「オフィーリアだよ」

（オフィーリア・・・・？）

紗奈の胸がざわつく。それはオフィーリアを依頼されるのが久しぶりだったからというだけではなかった。

「お待たせしました」

低い声がして、誰かが部屋に入ってきた。
濃紺のスーツを着た背の高い、縁なしのめがねをかけた男性。
耕太の言っていた通り、神経質そうな目は威圧的でもあった。

（この人の肖像画を描くのね・・・・）

男は紗奈の姿を見て少し驚いた表情をしたが、すぐにもとに戻す。
耕太と短い挨拶をした後、紗奈に視線を移した。

「初めまして。小野瀬と申します」
「初めまして・・・・松代紗奈です」
「実は、今回の依頼人は私ではありません」

男は余計な話は不要とばかりに、突然切り出した。

え？と、耕太と紗奈が同時に反応した。

「私は依頼人の秘書です。もうすぐ本人たちが・・・・」

ドタドタとこちらへ向かってくる足音が聞こえたかと思うと、バタン！と勢いよくドアが開いた。

「来ました」

小野瀬が少々げんなりした様子で言った。

「俊！来てるか！？例の・・・・」

乗馬服を着た茶色いゆるやかなウェーブがかった髪の、綺麗な顔立ちをした青年が勢い良く入ってきた。
紗奈を見るや、満面の笑みを浮かべて近づいてきた。

「やあ、やあ、君が！へえ！かわいいね！どうも、中園征哉です」

紗奈は突然手を取られ、一方的な握手を受けて面食らった。

「あ、あの・・・・・」
「祐哉！はやく来い！」

茶髪の男がドアに向かって叫んだ。

（ゆうや・・・・？）