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月夜の迷子たち
第2章 再会
紗奈がドアに視線をうつすと、松葉杖をついた男性が現れた。

「・・・・・・・!」

紗奈は思わず立ち上がった。
そこには、川で倒れていたあの男がいた。

杖をついているが、顔色は良く、紗奈を見て優しく微笑んでいた。

(ああ・・・・!)

あの時とは全く違う、元気な姿に紗奈は涙が出そうになるのをこらえようと唇を噛み、両手で口元を隠した。
祐哉は杖の扱いに慣れていて、颯爽と部屋を横切って紗奈の前まで来た。

明るい日差しの中、力のある瞳を前に見て、目に浮かんでいた涙はとうとう、つ・・・・と紗奈の頬を伝った。

(良かった・・・・!無事だったんだ・・・・・!)

「あー・・・・、じゃあ、ぼくたちはあちらに移動しましょうか。叔父様?」

征哉が耕太に声をかけ、強引に腕を引っ張った。

「え?え?」

耕太は状況がつかめず、紗奈と男性たちにキョロキョロと視線を彷徨わせた。

「俊、行くぞ」

秘書の男は黙って立ち上がり、二人と一緒に部屋から出て行った。

「・・・・無事だったのですね」

紗奈の声は震え、安堵の涙が次々と出てきた。

「あの時は本当にありがとう。君のおかげで助かった」

紗奈は首を横に振った。

「いいえ。私は何も・・・・。すぐに病院へ連れて行くべきでした。それをずっと後悔してたんです」
「やめてくれと言ったのは俺なんだから。気にしないで」

座って、と促されて、紗奈は慌てて腰を下ろした。自分が立っていては祐哉が座れない。まだ足は治ったわけではなさそうだ。

「ずっと、君のことが気になってた。助けてもらったのに、お礼も言えなくて」
「私もずっと気がかりでした。・・・・背中は大丈夫ですか?足も・・・・」

紗奈が尋ねると、祐哉は恥ずかしそうに笑った。

「足はもうほとんど大丈夫なんだ。背中は何針か縫ったけど、そんなに大きな傷じゃなかったんだよ。でも、驚いたよね。隠してごめん」

祐哉はあの時の状況を詳しく話してくれた。

「少し前に事故にあって肋骨折ってね。治ったばかりなのに、また別の怪我したものだから大事にしたくなくて・・・・・。事故の時に家族にめちゃくちゃ心配かけて、これ以上心配かけたらまずいってのがすごくあって」
「それであんなに病院行きたがらなかったんですね」

なんだか子供みたい、と心の中で少し呆れた。
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