この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
レイアの嫌な予感はあたった。

紗奈の実母から電話がかかってきて、レイアの出自をネタに強請られていたことが判明したのだ。
瑠花という、祐哉の幼馴染の女性が紗奈と祐哉を引き離すために、借金で困ってる紗奈の実母に金銭を要求できるとけしかけたのだった。

レイアは俊の部屋のソファに一人座ってクッションを抱きしめていた。
俊は祐哉のために弁護士と話し合いの最中だった。
紗奈のことが気になって仕方がない。

自分のせいで紗奈はお金を払ってしまった。いったいいくらかは知らないが、これまで紗奈が必死になって絵を描いて稼いだお金なのは間違いない。
何もしてあげられない自分が情けなく、悔し涙があふれる。
(スウェーデン王室の隠し子ですって・・・・・・・?馬鹿らしい。そんなの嘘に決まってる)
そう思いながらも言いようのない不安が押し寄せてくる。

母が父の写真を一度も見せてくれなかったことや、友子が頑なに芸能事務所からの誘いを断ってきたことが気になってくる。

レイアが自分の出生で知っていることはわずかだ。

母は金沢の名家の出身だった。

母がアメリカに留学中に父と出会い、恋に落ちたものの、帰国のタイミングで別れることになった。帰国してから母は玲央とレイアを身ごもっていることを知り、父には知らせることなく出産した。

未婚の母となることに母の両親は激怒し、勘当され、一人上京した。

友子は母の中学からの親友で、先に上京し、東京で看護士として働いていた。

事情を知った友子は母が住むアパートの近くに引っ越し、双子の育児や家事、おそらく金銭的な面でも母と双子の面倒を見てくれた。玲央とレイアにとっては友子も親であり、母が亡くなって一緒に暮らすのは自然なことだった。

母は父のことをほとんど教えてくれなかった。

スウェーデン人だということ。とても優しく上品な人。今はもうどこにいるのかわからないから、会うことができないということ・・・・・・・。

レイアは母と友子と玲央がいたから、父がいなくて悲しいと思ったことはなかった。
会いたいと思ったこともなかった。

母が病気になって、双子の未来を案じて悩んだり泣いたりする姿を見ても、’父がいたらなぁ’とも思わなかった。レイアの生活に父親という要素が元々ないから、必要だと思うことがなかった。
/290ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ