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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
指輪の紋章や文字をメモするというのも、玲央らしい。自分だったら、なんだろコレ、で終わりだ。

「文字の意味からして、多分俺らの父親が母さんにあげたと思った。紋章は俺の絵が下手すぎて結局誰のかわからなかった。でも、クラウンがあったのははっきり覚えてて、絵にもクラウンだけちゃんと書かれてたから・・・・・・。もしかしたら王族と縁があるのかもしれないって、少し思ってた」
「・・・・・・そうなんだ・・・・・・・」

レイアは玲央の話を聞いて、落ち着かなくなった。自分の身体に大きな手が伸びて、どこかに連れ去られそうな不安に襲われる。

「ねえ・・・・・・。でも、もしそれが本当の話だとしても、大丈夫だよね?だって、今まで何も起こらなかったし・・・・・。何も変わらないよね?」
レイアは不安になって玲央に尋ねた。
「ああ・・・・・・。大丈夫だよ。母さんが死んで20年近くなる。今更、何をどうするってんだよ」

それはまるでレイアを安心させるために嘘をついているかのような口調だった。
玲央は・・・・・・もしかしたら、いや、もしかしなくても父親に会いたいと思っている。
そうでなきゃ、あんなに熱心にスウェーデン語を学んだりしない。
自分のルーツを知りたいと思っている玲央が、父親なんてどうでもいいと思ってるわけはないのだ。

「とりあえず、今は松代さんのことじゃないの?お前に出来ることがあったら、サポートしてあげろよ」
「うん・・・・・。わかってる」

何かあったらすぐ連絡してと言って、電話は切れた。
入れ替わりのように俊が部屋に入ってきた。

「レイア、ちょっとこれから弁護士と一緒に松代耕太さんのところに行ってくる。その後、紗奈さんの実母のところに行くかもしれない。それはまだ未定だけど、とにかく遅くなるとは思う。今から家まで送ってもいいし、ここいてもいいが、どうする?」

レイアは不安な気持ちを隠しきれずに、俊に抱きついた。

「・・・・・・ここで待っててもいい?」

俊はレイアの背中に腕をまわし、ぎゅっと抱きしめた。
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