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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
鉛のような不安は、日に日に積み重なっていって、レイアの心にずっしりと沈殿していた。
紗奈は退院して長瀞の家で祐哉と一緒に生活を始めて、少しずつ落ち着きを取り戻しているようだった。俊の方も、弁護士と共に紗奈の母親と話し合いを済ませ、今後紗奈及び中園の人間と接触しないという確約を取り付けることが出来たが、今度は祐哉がいない穴埋めで日々忙しく過ごしていた。
レイアはすっかり俊の部屋に住み着いていた。一応客室を用意してもらっていたが、ほとんどを俊の部屋で過ごした。夜は俊が帰ってくるのを待っていたいのだが、ここ数日いくら寝ても眠たくて仕方がないのだ。まるで眠っていたほうがいいのだと心が言ってるかのようだった。夜中にふと目が覚めると俊がレイアを抱いて寝ているという日々だった。
テニスクラブのバイトだけは何とか行っていたが、オーナーに様子がおかしいことを察知され、しばらく休んだらと言われて、今は友子のお見舞いに行くぐらいしか外に出ていない。午後になると途端に眠たくなるので、お見舞いも午前中行くようになっていた。
その日、レイアは朝食を食べた後、俊の部屋で紗奈に手紙を書いていた。
本当は直接会いに行きたかったが、俊に今はそっとしておけと言われて我慢している。
コンコンとドアがノックされ、返事をする前に征哉が入ってきた。
「やぁ。調子はどう?」
「征哉君・・・・・・・。仕事は?」
「うん、まあ。ちょっとね」
そう言うとレイアが座るソファの隣に腰掛けた。
「・・・・フレデリック・エリストンという人物が、君と玲央君に会いたいと言ってる。君たちの父親が」
レイアはペンを止めて、征哉を見た。
あまりに唐突に言われたので、内容がすんなり頭に入ってこない。
「え・・・・・・・?」
征哉は少し困ったように笑った。
「今朝は自分で運転して出勤したんだけど、会社の駐車場で突然拉致されてね。彼のSPだったけど、殺されるのかと思った」
「・・・・・・・・」
レイアは何も変化などないのだと思いながら、心のどこかできっと何かが起こると感じていた。
それが現実にやってきた。背筋がぞっとして思わず征哉のスーツの袖を掴んだ。
紗奈は退院して長瀞の家で祐哉と一緒に生活を始めて、少しずつ落ち着きを取り戻しているようだった。俊の方も、弁護士と共に紗奈の母親と話し合いを済ませ、今後紗奈及び中園の人間と接触しないという確約を取り付けることが出来たが、今度は祐哉がいない穴埋めで日々忙しく過ごしていた。
レイアはすっかり俊の部屋に住み着いていた。一応客室を用意してもらっていたが、ほとんどを俊の部屋で過ごした。夜は俊が帰ってくるのを待っていたいのだが、ここ数日いくら寝ても眠たくて仕方がないのだ。まるで眠っていたほうがいいのだと心が言ってるかのようだった。夜中にふと目が覚めると俊がレイアを抱いて寝ているという日々だった。
テニスクラブのバイトだけは何とか行っていたが、オーナーに様子がおかしいことを察知され、しばらく休んだらと言われて、今は友子のお見舞いに行くぐらいしか外に出ていない。午後になると途端に眠たくなるので、お見舞いも午前中行くようになっていた。
その日、レイアは朝食を食べた後、俊の部屋で紗奈に手紙を書いていた。
本当は直接会いに行きたかったが、俊に今はそっとしておけと言われて我慢している。
コンコンとドアがノックされ、返事をする前に征哉が入ってきた。
「やぁ。調子はどう?」
「征哉君・・・・・・・。仕事は?」
「うん、まあ。ちょっとね」
そう言うとレイアが座るソファの隣に腰掛けた。
「・・・・フレデリック・エリストンという人物が、君と玲央君に会いたいと言ってる。君たちの父親が」
レイアはペンを止めて、征哉を見た。
あまりに唐突に言われたので、内容がすんなり頭に入ってこない。
「え・・・・・・・?」
征哉は少し困ったように笑った。
「今朝は自分で運転して出勤したんだけど、会社の駐車場で突然拉致されてね。彼のSPだったけど、殺されるのかと思った」
「・・・・・・・・」
レイアは何も変化などないのだと思いながら、心のどこかできっと何かが起こると感じていた。
それが現実にやってきた。背筋がぞっとして思わず征哉のスーツの袖を掴んだ。