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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
俊の大きな手がポンとレイアの頭に乗った。
レイアは顔を少しずらして片目でそっと俊を見上げた。

「いいよ。そういうのも、俺の役目だろ?」
「・・・・・・・・・・」

俊はわかっていながら、レイアの現実逃避に付き合ってくれようとしてくれたのだった。

「・・・・・・私、会わなきゃダメかな・・・・・・」

レイアは父親と会った方がいいのか、考えても考えても答えが出せないでいた。

俊が優しく頭を撫でる。
こんな俊、見たことないなと思うほど穏やかで温かい眼差しでレイアを見ていた。
どんなレイアでも受け止めるという、大きな気持ちがそこにあった。

「会いたくないなら、会わなくてもいいんじゃないか」
「それがはっきりしないから困ってるんだよ・・・・・・」
「会いたくないと思う理由がはっきりしないのか?」

(会いたくない理由・・・・・・・)

レイアは乱れて散らかった自分の気持ちの中からそれを探し出す。

「・・・・・・・怖い」
「怖い?」

俊は意外な答えが返ってきたといった様子で少し驚いた表情をした。

「今の・・・・・・今までの、友子さんと、玲央との生活が変わるのが怖い。俊や皆と離れるようなことになったら・・・・・・・」

レイアはずっと感じていた恐怖を初めて口にした。
途端に涙が溢れる。

「今の、この生活が壊れてしまうんじゃないかって・・・・・・。怖い・・・・・・・」
「詳しいことはわからないけど、先方は君たちを無理矢理自分の国に連れて帰ろうと思ってるわけじゃ・・・・・・・」
「そうじゃないの!」

レイアは俊の腕を掴んだ。自分の深層心理を外に出す苦しみに耐えながら吐き出した。

「そうじゃないの・・・・・・・。会ったら・・・・・・もし会って、お・・・・・・お父さんと一緒にいたいって気持ちが・・・・・もし芽生えてしまったら?友子さんだけが親だと思ってるよ?思ってるけど・・・・・・・」

レイアの頭に、何度も繰り返された情景が浮かぶ。

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