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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「私には優秀な兄がいて、家では両親も本人も兄第一で私は自分の存在価値が見出せなくて苦しかった。兄は外面はいいけど、家では私をストレスのはけ口にして暴力をふるわれてね。そんな生活の中で、真奈は私の心のよりどころだったわ。でもね、やっぱり彼女も普通の女の子なのよ。あたりまえだけど。恋もしたいと思ってたし、数学が苦手で運動が苦手で方向音痴で・・・・・。まわりが勝手に彼女を神格化して見ていたのよね」

友子としても、友達として付き合っているつもりだったが、徐々に自分の中で真奈への想いが募っていくことを感じていた。
抗おうと思っても無理だった。真奈が好きで、一人占めしたいと思うようになっていく。

「ある日ね、真奈と一緒に帰ってたら男の子が私に告白してきたの。もう、そんなの真奈に近づきたいから、まずは私にってバレバレなんだけど、真奈はすごく喜んでね。いいじゃない!まずはお友達になってみたら!って無邪気に言うのよ。二重に傷ついたなぁ。私は真奈が好きなのに、こんな人と付き合いたくない。そもそもこの人、私と付き合いたいわけじゃないのに!って」

友子はクスクスと思いだしながら笑った。

「・・・・・・絶対叶わない恋だと思ってるけど、もしかしたらって想いがどこかにあったのね。あの子、どんなに素敵な男の子に告白されても付き合わなかった。真奈の実家は筋金入りのクリスチャンの家で厳しかったのよ。友子といる方が楽しいって言ってくれてね。もしかしたら、両想いなのかも・・・・・・って考えては、そんなわけないって打ち消して。でもね、大学の時に真奈がアメリカに留学して、好きな人ができたって手紙をもらった時に、やっと諦めたのよ。看護の短大出て、東京で働こうって決心したのはその時」

気がついたら玲央が傍に立っていた。
友子とレイアは同時に玲央を見上げた。
玲央は黙って椅子に座った。

友子はもう片方の手で玲央の手を握った。

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