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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「だって私が叱ると、玲央、机の下に入って出てこなかったじゃない。身体大きくなってもよくあそこに入っていて、何かあるのかしらって思うわよ。玲央の心のよりどころだったのよね。あのマークは」

玲央が気まずそうな顔をした。いたずらが見つかった子どもみたいな顔だった。

「あなたが疑問に思うこと、しっかり聞いてきなさい」
「・・・・・・・うん」

玲央がこんな顔をするのは、やっぱり友子を母親だと思ってるからだ。
レイアは立ちあがって玲央の手を取ると、友子の背後にまわって、手を伸ばして友子を抱きしめた。玲央がレイアを友子をまとめるように抱きしめた。

(どんなことがあっても、私たち家族だからね)

レイアはいつもなら言葉にすることで不安を払拭してきたが、今回は口にしなかった。
言わなくても、三人ともそう思ってることがわかるからだ。

父に会おう。自分と玲央と同じ瞳を見に行こう。

これからの自分のために、知るべきことを知りに行こう。

でも一つだけ・・・・・・・。

レイアの中にある想いが湧き上がる。
父親と会う条件が一つある。

相手がレイアの出す条件を飲んでくれたら会おう・・・・・・・。

不安はまだある。でも、自分の中で結論が出たからには、あとはそこに向かって進むだけだ。
レイアは自分の気持ちを再確認しながら、友子の細い身体を強く抱きしめた。

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