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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「これが条件?」

征哉が少し驚いた様子で、レイアから手渡されたレポート用紙を見つめた。

「うん。それでもいいって言うなら、会おうと思う」
「そう・・・・・・。レイアちゃんらしいというか、なんというか。オーケー。僕に任せたまえ。しっかりお伝えしよう」
「よろしくお願いします」

レイアたちは帝国ホテルの駐車場の車でひっそりと待機していた。

「では僕が調べたことを報告しよう」
「征哉くん、わざわざスウェーデンと金沢に行って調べてくれたのよね?大変だったでしょう?」
「時間がなかったからな。他の誰かに任せていたら何カ月かかるか。しかし、行った甲斐があった。いろいろ収穫はあったよ。君たちがどこまで知ってるのか把握してないけど、聞きたくない話もあるかもしれない。全部話していいのかな?」
「はい」
「お願いします」

レイアと玲央は同時に頷いた。
征哉は二人の目を見てから軽く頷くと、資料を見ながら話始めた。

「まず、フレデリック・エリストンがどんな人物か。彼はホテル経営で成功している。彼の先祖は貴族だから、古城をホテルにしたり日本の庭園を取り入れた和風のホテルなんかを建てたりしている。今回僕は古城ホテルに宿泊してみたけど、設備も問題なく、従業員の教育もよく出来ていて、伝統的なスウェーデン料理も食べられて満足できたホテルだったよ」

そう言ってホテルの写真を見せてくれた。バロック様式の重厚で雄大さを感じさせる城だった。

「次に、王族云々の話。これについては”嘘ではないが真実でもない”といったところかな。瑠花はあたかも現在の王室の話をしているかのようだったが、そうじゃなくて遥か昔の王室のことだ。18世紀まで遡る昔話さ。瑠花が手にした英語の調査書を見たけど、日本語訳に王族の血統なんて書いてあるから、それを勘違いしたのか、違うと知りながら利用したのか。とにかく使えるネタだと思って紗奈ちゃんの母親を操っただけだ」
「では、僕たちと現在の王室は無関係ですか?」

玲央が少し前のめりになって尋ねた。

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