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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「・・・・・・失礼。つまり、王族のスキャンダルだと脅されることはないことは確かだ。ではなぜ君たちの母親は父親から隠れていたか?」

レイアはいよいよ核心に触れる時が来たのだと、息をのんだ。

「君たちの母親とフレデリック・エリストンがアメリカの大学で出会った時、彼にはスウェーデンに恋人がいた。今回も帯同している親友のモーリスの妹だ。しかし、彼は留学中に君たちの母親、真奈さんと恋に落ちる。彼は恋人に別れを告げ、真奈さんと恋人関係になる。そして約一年の留学が終わって、君たちの母親は妊娠していることに気付かないまま日本に帰国した。知っているだろうが、君たちの母親の生家の人々は敬虔なクリスチャンで、相当厳格に彼女を育てていた。彼女には親が選んだクリスチャンの婚約者がいて、大学卒業後に結婚することになっていた。それなのに自分の娘がどこの誰かもわからない男の子どもを妊娠して帰ってきて、それはそれは大騒ぎだっただろう。ガチガチなクリスチャンであれば、婚前交渉など許すはずなかっただろうからな。しかし、中絶なんかはもっての他だ。その選択肢だけは絶対に有り得ない。そうすると、お腹の子の父親と結婚させるしかない。しかし、彼女は父親が誰なのか絶対に言わなかった。当然家族とは衝突し、実家で産んで育てるなんてことは無理だっただろうね。彼女は家を出て一人で君たちを産んだ。国からの援助を受けたくても実家が裕福なことが関係して受けられなかった。しばらくは一人でどうにかして頑張っていたみたいだけど、身体を壊して一人で育てることに限界を感じて、今の君たちの母親である宮森友子に助けを求めたというわけだ。フレデリック・エリストンはちょうど君たちが産まれた頃に元恋人と結婚している」
「なぜレイアたちの母親は認知させなかったんです?」

俊が強い口調で尋ねた。征哉は人差し指を立てて大きく頷いた。
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