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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
エレベーターで最上階へと向かう。

玲央の表情は硬かった。放つ空気がピリピリしている。
レイアは俊を見上げた。俊は落ち着いていて、レイアの目をまっすぐ見て大丈夫と訴えてることが見てとれた。
俊がいなかったらその場で立っていられなかったに違いない。

指示された扉の前には黒いスーツの背の高い男性が二人立っていた。

レイアは足がすくんで歩き出せなくなってしまった。
頭が混乱して、逃げ出したくなってくる。
玲央がレイアの手を取った。

「レイア、大丈夫。すぐ終わるよ。レイアがあの条件を出したってことは、自分のためだけじゃなくて、友子さんのために会おうと思ったんだろ?だったら、一緒に頑張ろう」
「どうしよう・・・・・・急にわからなくなっちゃった・・・・・・。やっぱりあんな条件、馬鹿げてるよね・・・・・・?」
「そんなことない。俺も同じ気持ちだよ」

レイアはすがるように玲央の瞳を見た。

「俺たちだけじゃない。小野瀬さんも征哉さんも一緒だ。こんなに心強い布陣はない。ここは甘えさせてもらって、何かあった時の対処はお任せしよう。レイアと俺は、自分の心に従おう」

そうだ・・・・・・。自分には手を差し伸べてくれる人がいる。

玲央の言うように、自分の心のままに対応したらいいのだ・・・・・・。

レイアは頷いた。
玲央が扉を開けた。

レイアは俊の腕にすがりついて部屋に入った。

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