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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
レイアはどうしたらいいのだと黙って見つめることしかできなかった。
目の端でさっと玲央が動いて、フレデリクの手を握った。
「Jag är glad att se dig. (お会いできて嬉しいです)」
スウェーデン語でそう言って手を離した瞬間、玲央はフレデリクの脇腹を思い切り拳で殴った。
「!!」
フレデリクが思わず屈んだのを見て、すかさず顎に強烈なアッパーを入れた。
鈍い音がしてフレデリクは倒れこんだ。
「フレッド!!」
モーリスがフレデリクに駆け寄り身体を支える。
フレデリクの口からボタボタと血が流れた。口をおさえて、表情を歪めている。
「・・・・・・感動の再会ができるとでも思ったか?俺たちがどんな想いで生きてきたと思ってる・・・・・!俺はあんたを憎んで憎んで、いつか会うことがあったらぶち殺してやると思って生きてきた」
レイアは驚いて玲央を見つめた。レイアも見たことのない、憎しみに溢れた表情だった。
そこで初めて、玲央が父に会いたがっていたのは、憎しみのためだったことを知った。
「・・・・・・母がどうやって死んだのか教えてやる。母は俺達を産んだことのダメージが大きくて、歳を取るごとに身体に不調をきたしていた。休みがちな母をやっと雇ってくれた食品加工の工場で身体に鞭打って働いて、帰宅してからも深夜まで内職をしてた。豚みたいな社長に性的な嫌がらせを受けても、身体の異変に気がついても仕事は辞められなかった。俺たちを育てなきゃいけないからだ。歩けないほどの状態になって初めて俺達は母さんの病気に気がついた。子宮がんだった。出血がひどくて相当辛かったはずなのに、ずっと隠してたんだ。もう手遅れの状態で、何もできずにただ死を待つだけだった。全部あんたのせいだ・・・・・・。母の人生も、友子さんの人生も、あんたがダメにしたんだ!」
目の端でさっと玲央が動いて、フレデリクの手を握った。
「Jag är glad att se dig. (お会いできて嬉しいです)」
スウェーデン語でそう言って手を離した瞬間、玲央はフレデリクの脇腹を思い切り拳で殴った。
「!!」
フレデリクが思わず屈んだのを見て、すかさず顎に強烈なアッパーを入れた。
鈍い音がしてフレデリクは倒れこんだ。
「フレッド!!」
モーリスがフレデリクに駆け寄り身体を支える。
フレデリクの口からボタボタと血が流れた。口をおさえて、表情を歪めている。
「・・・・・・感動の再会ができるとでも思ったか?俺たちがどんな想いで生きてきたと思ってる・・・・・!俺はあんたを憎んで憎んで、いつか会うことがあったらぶち殺してやると思って生きてきた」
レイアは驚いて玲央を見つめた。レイアも見たことのない、憎しみに溢れた表情だった。
そこで初めて、玲央が父に会いたがっていたのは、憎しみのためだったことを知った。
「・・・・・・母がどうやって死んだのか教えてやる。母は俺達を産んだことのダメージが大きくて、歳を取るごとに身体に不調をきたしていた。休みがちな母をやっと雇ってくれた食品加工の工場で身体に鞭打って働いて、帰宅してからも深夜まで内職をしてた。豚みたいな社長に性的な嫌がらせを受けても、身体の異変に気がついても仕事は辞められなかった。俺たちを育てなきゃいけないからだ。歩けないほどの状態になって初めて俺達は母さんの病気に気がついた。子宮がんだった。出血がひどくて相当辛かったはずなのに、ずっと隠してたんだ。もう手遅れの状態で、何もできずにただ死を待つだけだった。全部あんたのせいだ・・・・・・。母の人生も、友子さんの人生も、あんたがダメにしたんだ!」