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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
レイアは死ぬ間際の母を思い出して唇を噛んだ。

身体はボロボロで相当酷い状態のはずなのに、辛いと言ったことは一度もなかった。

いつもレイアたちの前では落ち着いた笑みを見せていた。



フレデリクは玲央の言葉に絶望するかのように目を見開いた。
モーリスがゆっくり歩いて玲央の前に立った。

「そうか・・・・・」

瞬間、モーリスが玲央の髪を掴んで思い切り持ち上げた。
先ほどと表情が一変して、殺人でも犯しそうな狂気を帯びた目だった。

「!!」
「それがどうした?その程度のことで不幸自慢するな。お前の母親が勝手に出産するからだろう?妊娠中に知っていたら、どんなことをしてもお前たちをこの世に産み落とすようなことはさせなかった」
「モーリス!?何をしている!やめろ!!」
「お前たちは生れてくるべきではなかった。お前たちが自分の母親を不幸にしたんだろう?だいたい、お前たちがフレデリクの子どもだという証拠があるのか?あの女が他の男に抱かれていないと言い切れるのか?」

俊がモーリスの腕をギリ!と掴む。

「今すぐ離さないと、この手をへし折る・・・・・!」

征哉がモーリスの胸倉を掴んだ。

「それ以上言ってみろ・・・・・・。お前の大事な妹と姪にこのことをバラす。俺の電話一本で二人を拉致できる状況だということを教えてやる」
「・・・・・・なんだって?」
「お前の妹はさぞかし絶望するだろうな。全身全霊で愛し、尊敬している夫と兄が一人の日本人女性を辱め陥れた事実に心やさしい彼女は耐えられるかな?」

モーリスの顔が歪んだ。

「貴様・・・・・・!」
「今すぐその手を話せと言ってるんだ!」

征哉が叫んだ。
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