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月夜の迷子たち
第12章 包まれる想い
「モーリス、手を離せ!」
フレデリクの怒声を聞いてモーリスは征哉をにらみつけつつ、玲央の髪を掴んでいた手振り払うようにして離した。
「・・・・・なぜ・・・・・・なぜ母の助けに応じなかった?あんたも、母が勝手に産んだのだから、自分には責任は無いと思っていた?」
玲央はフレデリクをまっすぐ見つめて問いかけた。
フレデリクは、まさかというように首を振った。
「もちろん、君たちが産まれたことを知って、援助すると言った。しかし、真奈はただひたすら私を拒絶するばかりで・・・・・・。何もさせてくれなかったんだ・・・・・・。あの時だって・・・・・・。留学中、私は真奈と結婚しようと思っていた。彼女も一緒になりたいと、両親を説得してまた会いに来ると、そう言って日本に帰ったんだ。それなのに・・・・・・連絡が取れなくなって、居場所もわからなくなった。一度日本に会いに行ったが、彼女は家を出ていて見つけることができなかった。次に彼女から連絡が来た時に、私たちの子どもが産まれたことを知った。彼女は身体を悪くしていて二人を育てることに苦労していた。私はすぐに会いに行くと言って日本に行った。彼女は当面の金を貸してくれないかと言った。ちゃんと働いて返すからと。私は返さなくていいと言った。これからも定期的に会いにくると言ったんだ。今すぐは無理だけど、妻と離婚して君たちを迎えに行くと。本当にそうするつもりだった。でも、その時に会って以降、再び彼女は拒絶し始めた。援助もいらない。もう私にも子どもたちにも二度と会うなと。最初に援助した金を送ってきて、それが最後だった・・・・・・」
「そう。それは嘘じゃない。あなたは真奈さんに援助を申し出ようとしていた。しかし、真奈さんはかたくなにそれを拒んだ。彼女にある人物がこう言ったんだ。『フレデリクの妻は実の親に虐待されて愛されなかったばかりか、何度も殺されそうになるような不幸な人生を送ってきた。彼女からフレデリクを奪って、これ以上失望させるようなことはしないで欲しい。更に彼女には視力障害があって働くことが出来ず、フレデリクと離婚したら生きていけない。お腹の中に子どももいる。どうか黙って身を引いてくれ』ってね。なあ、ミスター・モーリス?」
フレデリクの怒声を聞いてモーリスは征哉をにらみつけつつ、玲央の髪を掴んでいた手振り払うようにして離した。
「・・・・・なぜ・・・・・・なぜ母の助けに応じなかった?あんたも、母が勝手に産んだのだから、自分には責任は無いと思っていた?」
玲央はフレデリクをまっすぐ見つめて問いかけた。
フレデリクは、まさかというように首を振った。
「もちろん、君たちが産まれたことを知って、援助すると言った。しかし、真奈はただひたすら私を拒絶するばかりで・・・・・・。何もさせてくれなかったんだ・・・・・・。あの時だって・・・・・・。留学中、私は真奈と結婚しようと思っていた。彼女も一緒になりたいと、両親を説得してまた会いに来ると、そう言って日本に帰ったんだ。それなのに・・・・・・連絡が取れなくなって、居場所もわからなくなった。一度日本に会いに行ったが、彼女は家を出ていて見つけることができなかった。次に彼女から連絡が来た時に、私たちの子どもが産まれたことを知った。彼女は身体を悪くしていて二人を育てることに苦労していた。私はすぐに会いに行くと言って日本に行った。彼女は当面の金を貸してくれないかと言った。ちゃんと働いて返すからと。私は返さなくていいと言った。これからも定期的に会いにくると言ったんだ。今すぐは無理だけど、妻と離婚して君たちを迎えに行くと。本当にそうするつもりだった。でも、その時に会って以降、再び彼女は拒絶し始めた。援助もいらない。もう私にも子どもたちにも二度と会うなと。最初に援助した金を送ってきて、それが最後だった・・・・・・」
「そう。それは嘘じゃない。あなたは真奈さんに援助を申し出ようとしていた。しかし、真奈さんはかたくなにそれを拒んだ。彼女にある人物がこう言ったんだ。『フレデリクの妻は実の親に虐待されて愛されなかったばかりか、何度も殺されそうになるような不幸な人生を送ってきた。彼女からフレデリクを奪って、これ以上失望させるようなことはしないで欲しい。更に彼女には視力障害があって働くことが出来ず、フレデリクと離婚したら生きていけない。お腹の中に子どももいる。どうか黙って身を引いてくれ』ってね。なあ、ミスター・モーリス?」